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埼玉県狭山市 まんが日本昔ばなしの画家が描く残したい風景

  • 2022年05月27日

森の中で遊ぶ子どもたちの姿を描いたこちらの絵。かつて放送されたテレビアニメ「まんが日本昔ばなし」の作画を担当した池原昭治さんの作品です。埼玉県狭山市に残る雑木林や茶畑など、昔ながらの農村の風景を集めた作品集が作られました。「地元の魅力を再発見してほしい」という池原さんの思いが込められています。

「残しておきたい狭山の風景」池原昭治さんの作品が100点

作品集は「残しておきたい狭山の風景」というタイトルで、狭山市観光協会がことし3月に発行しました。100点の作品が掲載されています。

描いたのは池原昭治さん(83)です。「童絵作家」を名乗る池原さんは、テレビアニメ「まんが日本昔ばなし」の演出や作画を担当したことでも知られています。
いずれの作品もほのぼのとしたタッチで色鮮やかに描かれていて、必ず子どもたちが登場します。

「雑木林の宝」

武蔵野の雑木林は多くの作品に描かれています。説明文には「子どもたちにとってカブトムシやクワガタムシなど、お宝いっぱいの場所です」と記されています。林の中にはタヌキの姿も。

 

「狭山茶畑」

「狭山茶」の産地として知られる狭山市。茶畑も複数の作品で描かれています。

 

「母なる川 入間川」

市内を流れる入間川は「歴史に彩られた狭山市が誇る川」と紹介されています。化石が出土したり、江戸時代にいかだで木材が運ばれたりしました。遠くに見えるのは秩父地方の山々。池原さんお気に入りの風景だということです。

失われつつある風景を絵に

50年余り前から狭山市内に住む池原さんは、スケッチブックを片手に地元を歩き回り、住民から昔の様子などを聞き取って、失われつつある風景を絵に残してきました。

池原昭治さん
「狭山市に移り住んできた当時、私の家の周りは雑木林に囲まれた、まさに国木田独歩の武蔵野の風景でした。庭を掃除していたら、野ウサギが跳ねていて、大変、驚きましたが、いいところに来たなとも思いました。毎日のように歩いたり、自転車に乗ったりして、風景を描いていましたが、地元の人に話を聞くと『いまはこのような風景ですが、昔はこんな風景でした』という話をよく聞きました。今、その風景を残しておかないと、あと10年、20年たったらもっと変わってなくなってしまいます。それでは忍びないと思い、広報紙の連載に取り組みました。その土地の生活のにおいのする風景を表してみたいと思っていました」

広報紙での連載 色鮮やかな作品を見てもらうために

これらの作品は狭山市の広報紙に、2020年7月までの8年4か月間、毎月連載されました。池原さんの原画は色鮮やかな水彩画ですが、連載開始の頃の広報紙は白黒で、カラーでの発行回数は限られていました。

左:作品集 右:広報紙掲載当時

そこで、きれいな色彩で多くの人に見てもらいたいと、市の担当者は作品集づくりに取り組みました。

狭山市広報課 豊泉直美課長
「池原先生の絵をカラーで伝えることができて、うれしく思っています。透明感のある優しい色合いで、細かく描きこまれているので、これを参考に市内を歩いてもらい、みなさんの心の中に風景を残しておいてほしい」

原画を紹介する企画展も

作品集の発行にあわせて、狭山市立博物館では、ことし3月から5月中旬まで、作品集の原画などを集めた企画展が開かれ、多くの市民が足を運びました。

「非常に心が落ち着く、すばらしい絵だと思いました。描かれた場所は、見覚えがあります。写真や映像が発達しているいまだからこそ、この絵には深い味わいがあると思います」

「いつの間にか住宅ができて、森や林がなくなるのは寂しいと思っていたので、こうした絵を見ると、懐かしいなと思います。地元の風景を絵に残すことで、子どもたちの記憶にも残るので大変いい取り組みだと思います」

「地元の良さ再発見して魅力の発信を」

池原昭治さん
「描いたのはあくまでも、私個人が見た風景で、見る場所や時間帯によって、それは変わってきます。それぞれ自分なりに風景を楽しむ方法を考えてほしいと思います。狭山市は歴史と自然が織りなす、すばらしい町なので、ぜひ、若い人に地元の良さを再発見してほしいです。いまの時代、映像など違った作品の発表の仕方がたくさんあると思いますので、若い人たちなりの表現で地元の魅力を発信していってほしいです」

掲載された作品100点は、狭山市観光協会のホームページから見ることができます。 
https://www.sayama-kanko.jp/

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