東京都国立市のJR国立駅から南に伸びる、地元のシンボルとして多くの人に親しまれている並木道があります。
ここは、多摩地域有数の桜の名所として知られていますが、見事な桜が見られるのには、地元の「桜守」と呼ばれる人の存在が欠かせません。長年、地域の桜を見守り続ける人たちを追いました。
JR国立駅から南に1.5キロほど伸びる並木道は、国立市のメインストリートです。
春には桜が咲き誇り、秋は黄金色の紅葉と、四季の彩りが楽しめる並木道は、東京都が選出する「新東京百景」にも登録されています。
そんな並木道の名物は150本以上の桜です。
もう本当に道路一面に桜が、両側に咲いているので国立のシンボルみたいな感じです。
とてもなんか誇らしくて国立には外せないです。
桜の開花には少し早い、3月中旬。
桜の木の下に集まっていたのは、桜の管理を行う地元のボランティア「くにたち桜守」の人たちです。
桜を見つめて20年以上の代表を務める大谷和彦さん74歳です。
木の状態を確認するため、幹の太さなどを1本1本測っていました。
くにたち桜守の代表 大谷和彦さん
「これは“桜が元気かな”という健康診断をやっています」
並木道の桜は、樹齢が古いものが多く、すべてが健康だとは限りません。
木をたたき、幹の内部がいたんでいるかを音で確認する“打音検査”。
くにたち桜守によりますと、音が高いと密度が低く、一方で低いと密度が高いので健康なんだということです。
《実際に聞いてみて下さい。動画にしています》
いたみが激しい木には、包帯や保護剤を塗ったり、木の下に花を植えて根元が踏まれたりしないようにするなど1年を通して桜のケアを行います。
大谷さん
「ケガをした時にちゃんとケアしていく。桜から直接のメッセージはこないけど、もしキズがついて、いたんだら、桜に対して思いやる気持ちがとても大事だと思っています」
大谷さんが「桜守」になったのは、いまから24年前。
車との接触でキズついた桜の木を見たのがきっかけでした。
そこで毎年、桜を見ることを楽しみにしていた大谷さんは、市や自治会に頼み、桜の治療法を模索しながら管理も行うことにしました。
よくとし、キズついた桜は無事、開花。その後、地元からの要望もあり、大谷さんは「桜守」として引き続き、国立の桜を管理することになりました。
こうした活動に賛同者が次第に集まり、現在は20人ほどが参加しています。
そんな桜守には、管理以外にもう一つ大切な役割があります。
この日、大谷さんが行うのは市内の小学校での特別授業です。
授業では、国立の桜に与える、肥料づくりに挑戦します。
「米ぬか」や「炭」に「糖蜜」を加え、だんご状にした大谷さん特製の肥料です。
これ見てつくねにしか見えない!
おなかすいているんだな!
そんな大谷さんの思いに、子どもたちは桜へのメッセージを書きました。
桜の魅力を大切にしたいです。
美しい桜の景色を未来へつなげたいです。
くにたち桜守の代表 大谷和彦さん
「桜をきっかけに、人に対する思いやりと同じように、その輪が広がることはとてもうれしいです。国立の桜は絶対東京で一番見事だと桜をめでてほしいなと思います」