全国的に知られている石川県の「輪島朝市」のにぎわいを描いた絵本「あさいち」。
いまから44年前の1980年に刊行されました。
輪島市の「朝市通り」は、能登半島地震で大規模な火災が発生し、大きな被害を受けました。
そうしたなか、6日に「あさいち」が復刊しました。
後押ししたのは、読者からの寄せられた声でした。
復刊したのは、1980年に刊行された絵本「あさいち」です。
※こぬかいわし どうねー。
※よう しおと ぬかに つけこんだある。
※だいこと にれば うめえげに。
※ふでさん ねぎ もらお。
※おおきに ねえちゃん。
※これ まけとくさけ。
※「あさいち」から文章抜粋
作品は、1970年代の「輪島朝市」を描いていて、新鮮な海産物や野菜などが売り買いされる様子とともに、地元の人たちの会話が生き生きと表現されていて、朝市が交流の場として地域に根づいてきた姿が描かれています。
都内の書店では、6日に絵本が並べられ、子どもと読んだり、購入したりする人の姿が見られました。
活気のある感じとか、現地のことばとかがリアルに書いてあったので興味深い内容でした。
絵がほのぼのとしていていいです。こういう日常があり、それがいま失われてしまったことを子どもに読んで伝えたい。
出版元の福音館書店によりますと、地震を受けて読者から復刊を求める声が相次いで寄せられ、急きょ対応を決めたということです。
売り上げは、能登半島地震の義援金として日本赤十字社に寄付されます。
福音館書店 岡崎健浩さん
「刊行から40年以上が経つ中、多くの人の心に留めてもらい驚きとうれしさがあります。絵本を届けることで、微力ながら被災地の支援につながればと思います」
復刊した絵本「あさいち」は、44年前の1980年に東京・文京区の出版社、福音館書店の月刊絵本「かがくのとも」の1月号として刊行されました。
当時の編集者によりますと、挿絵を担当した画家の大石可久也さんとおよそ3年間にわたり「輪島朝市」に通い、市場に集う地元の人の姿を丹念に取材したということです。
絵本の中の文章は1970年代当時の朝市の様子が、そのまま読者に伝わるように現地で聞き取った実際の会話で構成していて、表紙には「かたり=輪島・朝市の人びと」と記されています。
出版社によりますと、能登半島地震を受けて読者から「輪島朝市のことを忘れないために、復興を信じて復刊してほしい」とか、「朝市を描いた絵本は貴重なので、小学校で子どもたちに紹介したい」などといった声が相次いで寄せられたということです。
福音館書店 岡崎健浩さん
「現地のことばも含めて、朝市の様子が手に取るようにわかり想像力をかきたてる作品です。この絵本がその地に暮らしていた人と生活を思い起こすきっかけになれば」