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「100円ラーメン」復活させた八王子市出身の店主の思いとは? “社会進出の「縁」をここから…”

  • 2024年2月7日

40年近く八王子市の人たちに親しまれていた1杯100円のラーメン。
13年前の2011年、その店は惜しまれながらも閉店しましたが、去年11月、かつての店の常連だった地元出身の男性が復活させました。

いまではラーメン1杯が1000円近くするのも珍しくないなか、なぜ復活させたのか?

そこにあったのは自らのつらい経験からくる、ある思いでした。

八王子のソウルフード復活

JR八王子駅の北口から歩いて8分ほどのところにある商業施設「桑都テラス」。
その施設の一角に、去年11月に誕生して話題となっているのが1杯100円のラーメンです。

あっさりとした醤油味のスープにちぢれ麺。
チャーシューやメンマなど具もしっかり乗っています。

実は、こちらのラーメンは長年、八王子で愛されてきた店の名物を再現したものなんです。

懐かしいです。そのころ子どもが学生だった中学生くらいだったから連れてきました。100円なんて安いじゃない。

税込み100円…さまざまな工夫が

ラーメン1杯が1000円近くするのも珍しくない、いまのご時世に税込み100円という値段にするため、さまざまな工夫で原価を抑えています。

そのひとつは麺です。コストを抑えるために自家製です。
さらに、スープのだしは調味料の組み合わせを工夫し、適材を適量に使うことで、コストを大幅にカットしました。
また、具のチャーシューも、切り方を工夫して無駄をなくしています。

復活させたのは “かつての常連” その理由は!

この100円ラーメンを復活させたのが、地元出身の青木崇浩さんです。
子どものころ、以前あった100円ラーメンの店に通っていました。

青木崇浩さん
「八王子で文化的に大切にできるようなお店を作るというところで、100円ラーメン復活、何とかできないかなと考えました」

昔の店は、さまざまな年代の人が集まる場所でした。
お小遣いを手にやってくる子どもや学生、それに家族連れや仲間と訪れる会社員など、幅広い年代の人たちに親しまれていました。

「100円だから気軽に立ち寄れる“交流と憩いの場所”を復活させたい」と青木さんは考えたのです。

さらに100円ラーメンを復活させた理由は、それだけではありません。

青木さんは、障害がある人を雇用する就労支援事業を行っています。
4か所の事業所があり、食品製造を行っている事業所ではラーメンの麺製造を始めました。

青木さんが、障害者支援を始めたのは、自らの経験からです。

20代のとき、大病がきっかけでうつ病を患いました。
その後、就職しますが、仕事になじめないこともあり、社会人としての自信が持てなかったといいます。

青木崇浩さん
「人とのコミュニケーションが大事なんですね。なかなか昔うまくいかなかったというものがトラウマになっていたり、克服するカギはひと言で成功体験です。自分がやったことによって喜んでいただける、その体験を積み重ねていく」

100円ラーメンの店 目指しているものは…

100円ラーメン店は、障害がある2人のスタッフに切り盛りをまかせています。
目指したのは、誰でも働きやすく、楽しい職場です。

失敗せずに調理できるよう、ちょうど一杯分がすくえるオタマを用意するなど働きやすい工夫をしています。

調理を任されている北野航輝さん。
事業所で就労支援をうけたあと、接客業に初めて挑戦中です。

北野航輝さん
「最初は本当に緊張してガチガチだったんですが、徐々に流れというのもわかってきたりするのでお客さんに提供して『おいしかった』という声をいただいて、すごいやりがいは感じてます」

100円ラーメンに込めた思いとは“縁”

店の看板にある「縁」という文字。
100円ラーメンを通して、障害者が地域社会とつながり、社会進出となる「縁」をここからつかんでほしいという青木さんの思いが込められています。

青木崇浩さん
「お店がしっかりはやっていくこと、それでいて地域の人たちがみんな喜んでもらうこと。やがて、地域からこのお店って大切って思ってもらうこと。そのようなお店を作りたいです」

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