国内では、100歳以上で仕事をしている人も増え続けています。
東京・目黒区には、ギネス世界記録で世界最高齢の薬剤師に認定され、いまも現役として働き、2023年9月18日に101歳を迎えた女性がいます。
東京・目黒区で薬局を営んでいる幡本圭左さんは、2023年9月18日に101歳となり、今も薬剤師として週に6日、店頭に立って薬の処方などを行っています。
父親の勧めで薬学の専門学校に進学し、太平洋戦争のさなかの昭和18年に薬剤師の資格を取りました。その後、結婚し、2人の子どもを育てながら家計を支えるため30歳のときに薬局を開業。
それから70年、同じ場所で薬剤師を続け、去年(2022年)7月には世界最高齢の薬剤師としてギネス世界記録に認定されました。
これまで大きな病気やけがをしたことがないという幡本さんは自身の健康を維持するために、毎朝、起床後におよそ10分間、手足を動かしたり、ストレッチをしたりするなど、適度な運動を心掛けているということです。
また、遠方に住むなどして直接お礼を言えない人から薬の注文があった場合には、万年筆で手紙を書き、感謝のことばを伝えるようにしています。
幡本さん
「お客さんから『いただいたお薬でよくなりました』などとひと言でも言っていただくとうれしいです。健康を売る店なので自分がよろよろしていたら申し訳ない。少しずつ長生きをして、皆さんに迷惑をかけないようにできればもう万々歳です」
「やっぱりこの仕事が好きです。店にいらした方と話しているといまでも学ぶこともあるし、楽しくていい職だと思います。仕事を持っていて、本当によかったです。みなさんも趣味でも仕事でもいいので、何か続けられるものを持って頑張ってほしいです」
国内では、100歳以上で仕事をしている人も増え続けています。
5年ごとに行われる国勢調査の結果によりますと、国内の就業者のうち100歳以上は、2010年が200人、2015年が243人で、直近の2020年は406人でした。
性別では、女性が255人、男性が151人と女性が6割余りを占めています。
都道府県別では、東京都が84人と最も多く、次いで神奈川県が41人、大阪府が29人、北海道が16人でした。
高齢者と若者の世代間交流などをテーマに研究している東京都健康長寿医療センター研究所の村山陽研究員は、100歳以上の人が過去最多を更新したことは社会の器が広がっていることを示すものだとした上で、世代間での交流を増やしていくことが重要だと指摘しています。
東京都健康長寿医療センター研究所 村山陽 研究員
「社会保障や介護、医療など検討すべき課題はたくさんあると思うが、100歳の方が生き続ける、生活できているということは、それだけ社会の器が広がったということだ。100年の歴史の中で戦争や震災などを経験し、多様な考え方や価値観を持っている人たちが増えているということは、私たちにとって学びのよい機会になると思う」
また、「高齢者にとっても、自分の記憶や思いを下の世代に話すことは自身の幸福や人生の満足につながるし、若い世代も高齢者への理解や思いやり、共感などへの成長につながる」と述べ、世代間での交流を増やしていくことが重要だと指摘しています。
その上で、村山陽研究員は次のように話しています。
村山陽 研究員
「世代間交流といっても単に『はいどうぞ』では交流は起きないので、コーディネートをする人など工夫が必要になる。たとえば福祉施設の職員などが促すなどして若い世代とのコミュニケーションの場を作ることが重要」