「久しぶりに大根買った」「最近小松菜安いよね」
夏の記録的な猛暑などの影響で高くて、なかなか手が出なかった冬の野菜。
このところ、葉物野菜を中心に卸売価格は下がる傾向にあり、都内のスーパーでも10月より、大幅に安くなっているところもあります。
東京・墨田区にあるスーパーでは、はくさいやほうれんそう、小松菜、ブロッコリーなどの価格が下がり、高騰していた10月の中ごろと比べ、半値ほどになっているということです。
10月19日に同じスーパーを取材した際は、はくさいは、4分の1カットで税抜き168円しましたが、11月20日はなんと、68円でした。
特価の小松菜は50円!。
スーパーによりますと、10月から晴れが多く気温も高かったことから北関東などの産地で生育が早まり、市場に出る量が急増しているということです。
母親と訪れた60代の女性
「10月は野菜の値段が高く鍋に使うものの購入をちゅうちょしていましたが、ようやく安くなってきたので、家計が助かります」
スーパーイズミ 五味衛 社長
「価格が下がることは、売りやすい一方、これ以上安くなると農家が困ると思うので調整しながら営業していきます。今後も晴れた日が続けば急に価格が変化することはなく安定するのではないか」
独立行政法人の「農畜産業振興機構」がデータをとりまとめているウェブサイト「ベジ探」によりますと、東京都中央卸売市場に出荷される野菜は9月は猛暑の影響で生産量が少なく、卸値も高騰したものの、10月ごろから高温と少雨のために量が増え、卸値も低下傾向にあるということです。
ほうれんそうは10月2日時点の卸値が1キロ当たり942円と過去5年の平均から算出した平年の卸値に比べ、46%も高くなっていましたが11月16日には369円と平年に比べて15%安くなっています。入荷量も10月下旬から大幅に増えています。
はくさいも、10月16日時点の卸値が1キロ当たり140円と平年に比べて94%高くなっていましたが、11月16日には52円と平年の106%と、ほぼ平年並みまで落ち着いています。
入荷量も10月下旬から安定しています。
また、レタスも11月16日時点の卸値が1キロあたり150円と平年に比べて12%安く、ブロッコリーも同じ時点で1キロ当たり324円と平年より4%安くなっています。
実際に野菜の生育状況はどうなっているのか?
東京・青梅市内に16か所の畑を持つ繁昌知洋さんの農園を訪ねました。
小松菜やほうれんそうが植えられている畑。大ぶりなものもあります。
繁昌さんは直売所も運営していますが、中には「普通の市場だったら大きすぎて売れない」ものもあるそうです。
本来は年末年始にかけて出荷できるよう、10月に種を巻いたものの、10月から気温が高いため11月上旬から中旬に一気に成長してしまったということです。
小さなほうれんそうはサラダ用に出荷するなど価格が下がりすぎないよう工夫はしているということですが、年末年始には需要に供給が追いつかない可能性もあると考えています。
繁昌知洋さん
「大量に出回っているのは、それだけ収穫量が多いということです。収穫量が多い農家さんは、肥料にしてしまうところもあるかもしれません。いまは一時的に値段が下がっていますが、年末年始にかけて需要が高まり、また値段が高くなると思います」
安いからついたくさん買ってしまった…そんなときの保存方法について「野菜ソムリエ上級プロ」として活動している柳井さつきさんに聞きました。
【はくさいの保存】
まず、はくさいの保存方法ですが、まるごとの場合、新聞紙にくるんで冷蔵庫ではなく、廊下の隅などの直射日光の当たらない冷暗所に立てて保存すると、1か月は持つそうです。
新聞紙には、湿度を保ちつつ、よけいな水分を吸収してくれる効果があるそうです。
このとき、外側の葉から1枚ずつ使うと良いそうです。
カットしたはくさいは、乾燥を防ぐため、ラップで包むかジッパー付きの保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れると1週間ほどは持つそうです。
このときは内側の軟らかい葉の劣化が早いため、先に食べた方がよいということです。
【ほうれんそうの保存】
ラップでくるむなどして野菜室に立てて保存すると3日~5日程度持つということですが、使い切れない場合はさっとゆでて程よい大きさにカットし、食品を保存する袋に入れて冷凍すると1か月くらいは持つそうです。
シチューなどには凍ったまま使えます。
もちろん、収穫したばかりの野菜が一番おいしいですよ
安定しない気候の中、農家の皆さんが作ってくれた野菜、最後までおいしく食べたいですね。