ラグビーワールドカップフランス大会。日本は、東京や埼玉などにゆかりが深い選手の活躍もあって1次リーグ第3戦でサモアに勝ち、2大会連続の1次リーグ突破に前進しました。
次に対戦するのはアルゼンチンです。
関東ゆかりの選手が活躍したサモア戦を振り返るとともに今大会のアルゼンチンの試合結果やチームの特徴などをまとめました。
世界ランキング13位で前回大会を上回るベストフォー以上を目指す日本は、現地28日、日本時間の29日早朝、フランス南部のトゥールーズで、1次リーグここまで1勝1敗で並ぶ世界12位のサモアと対戦しました。
第2戦から先発メンバーを3人入れ替えた日本は、試合直前に副キャプテンの流大選手が欠場となり、26歳のスクラムハーフ、齋藤直人選手が出場しました。
日本は前半13分、レメキロマノラヴァ選手の力強い突破から、敵陣深くでパスをつないでピーター・ラブスカフニ選手が先制のトライを決めると、今大会、キックが好調な松田力也選手のゴールキックも成功し、7対0とリードしました。
両チームペナルティーゴールを1つずつ取り合ったあとの前半32分、日本は、またもレメキ選手の突破から逆サイドにパスで展開すると、ライン際に走り込んだリーチマイケル選手がトライを決め、松田選手のゴールキックも決まって17対3とリードを広げました。
日本は前半終了間際、堀江翔太選手が危険なプレーで一時退場になると、直後にサモアのラインアウトからモールで押し込まれてトライを奪われ、17対8で前半を終えました。
後半開始早々、サモアが危険なタックルで1人退場となるなか、日本は9分、モールで押し込んでキャプテンの姫野和樹選手がトライを決め、22対8と突き放しました。
日本はこのあと、サモアに2つのトライを奪われ詰め寄られましたが、松田選手が2つのペナルティーゴールを決めるなど逆転は許さず、28対22で逃げきって勝利しました。
日本対サモア戦は、早朝の試合でしたが、都内のスポーツバーには大勢のファンが集まって、熱い声援を送りました。
ラグビーファンの間で人気が高い東京・豊島区にあるスポーツバーには、およそ40人が集まり、大型のテレビで試合の様子を見守りました。
前半、日本がトライとキックを決めて先制すると、店内は大きな歓声で包まれました。
そして、28対22で日本が勝利すると、ファンたちはハイタッチして喜びを分かち合っていました。
70代の男性
「最後は危なかったが、粘りが功を奏したと思います。来週はフランスで応援します」
60代の女性
「今回も絶対勝つと信じていました。次も冷静なプレーでミスなくいつもどおりに勝ってほしいです」
日本は今後の行方を左右する重要な一戦に勝利して、1次リーグ突破へ前進しました。
日本、サモア、アルゼンチンが1勝1敗で並んで迎えたこの試合、日本は負ければ1次リーグ突破が厳しくなる局面でした。
ただ、キャプテンの姫野和樹選手が「チームに自信を感じる」と話していたように、選手たちはこの試合に向けた準備の成果を存分に発揮しました。
フィジカルを前面に押し出してくるサモアを相手に激しいタックルで前進を食い止め、攻撃ではキックを効果的に使ったほか、スクラムを起点に速い展開に持ち込みました。
日本は、2019年のワールドカップが終わってから世界ランキングで格上の相手に一度も勝っていませんでしたが、今回の勝利でそのジンクスを破りました。
しかし、まだ1次リーグ突破が決まったわけではありません。
10月8日の第4戦、アルゼンチンとの試合は突破をかけた大一番となります。
今回の勝利で勝ち点を「9」とした日本です。2大会連続の1次リーグ突破へ、次のアルゼンチン戦は再び日本代表の真価が問われることになります。
今大会のアルゼンチンは、1次リーグ初戦でイングランドに10-27で負けました。第2戦のサモアには19-10で、第3戦のチリには59-5でそれぞれ勝ちました。最終戦の日本とは10月8日に対戦することになっています。
アルゼンチン代表、愛称は「ロス・プーマス(Los Pumas)」
伝統的にフォワードが強く、グラウンドを広く使って展開するプレースタイル。
ワールドカップ(W杯)開幕前のワールドラグビーランキングは6位(9/4付)だが、アルゼンチン代表がマッチメイクする相手がニュージーランド、南アフリカ、オーストラリアといった南半球の強豪が多く、ポイントを重ねることが難しいことから、実力はヨーロッパのスコットランド以上だとする声もある。過去のW杯でも2007年大会で3位。2015年大会で4位。ベスト8も2度(1999年、2011年)経験している。
注目選手はSOのニコラス・サンチェス。正確なキックとクリエイティブなプレーで攻撃陣を牽引する。
また日本のリーグワンで活躍するフランカー、パブロ・マテーラ(三重HH)も、フィジカルなプレースタイルでチームの中核を担っている。
世界ランキング 9位(9/25付)
W杯出場回数 10大会連続10回目
戦歴 3位(2007年)