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新型コロナ後遺症 傷病補償年金は? 労災認定の女性に初の支給 症状重く長期化

  • 2023年9月25日

新型コロナウイルスに感染し労災認定を受けた女性が後遺症の症状が重く長期化したとして傷病補償年金の支給が決まったことがわかりました。後遺症に苦しむ人たちの救済につながると期待されています。後遺症についての大規模調査の結果とあわせてまとめました。

傷病補償年金 新型コロナで支給

厚生労働省で都内に住む55歳の女性が9月22日、記者会見を開きました。女性はおととし1月、東京都内の有料老人ホームで働いていた際に新型コロナに感染して休職し、半年後に労災認定を受けました。

その後も息苦しさなどは改善せず自宅で酸素療法を続ける生活を続けていたところ、ことし5月に労働基準監督署から傷病補償年金の支給が決まったと通知されたということです。

女性
「毎日酸素を2リットル使う生活で、元気に動ける日が少なく不自由な生活になった。時間がかかったけど、支給が認められてほっとしています」

“傷病補償年金の支給で多くの人たちの救済を”

傷病補償年金はこれまでじん肺などで療養を始めてから1年半が経過した症状が重い人が対象となっていましたが、支援するNPOによりますとコロナで支給されたのは初めてとみられるということです。

NPO法人 東京労働安全衛生センター 飯田勝泰事務局長
「コロナの後遺症に苦しむ人たちの治療と補償が課題になっている中で、国は傷病補償年金を支給し多くの人たちの救済につなげてほしい」

労働問題に詳しい専門家は

東洋大学 鎌田耕一名誉教授
「新型コロナの後遺症が労災認定されるのはそもそもハードルが高いと言われている。そうした中で後遺症が長期化した人に傷病補償年金の支給を認めたことは重要な判断だ。コロナの後遺症は企業によっては理解が進んでおらず、症状が続く人が『いつまで仕事を休むのか』と言われるようなケースが少なくないため、こうした人たちへの支援をどう進めていくか、考えていく必要がある」

“せきやけん怠感などが2か月以上” 成人の1~2割余

一方、新型コロナウイルスのいわゆる「後遺症」について厚生労働省の研究班が行ったアンケート調査の結果、成人の1割から2割あまりがせきやけん怠感など何らかの症状が感染から2か月以上続いたと答えたことが分かりました。

アンケート調査
東京・品川区、大阪府八尾市、それに札幌市の5歳から79歳の住民およそ19万5000人を対象。5万3000人あまりから回答。

この中で、2022年9月までに新型コロナに感染し、せきやけん怠感などが2か月以上続くいわゆる「後遺症」とみられる症状があると答えた人の割合は、成人では、札幌市で23.4%、大阪府八尾市で15.0%、東京・品川区で11.7%となりました。

一方、5歳から17歳の小児を調査した札幌市と八尾市ではいずれも6.3%と、成人より低い割合となりました。

また、感染前にワクチンを接種した人は接種していない人に比べて、成人と小児のいずれも症状が続いた人の割合がおよそ25%から55%低かったということです。

研究に参加した医師は

国立国際医療研究センター 磯博康医師
「感染した人の多くが長引く症状に苦しんでいることが大規模調査で裏付けられた。症状が長く続くことで生活に影響が出ている人もいるとみられる。継続的な治療に加え、時間の経過とともに症状がどう変化するのか、さらに研究を進める

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