全国各地で学校の給食や寮などの食事が突然、提供されなくなっています。
茨城県那珂市の児童自立支援施設で食事の提供ができなくなるなど影響が出ています。
食事を提供している広島市の会社「ホーユー」の社長は、全国およそ150の施設の半数近くで提供ができなくなっていると明らかにしました。
その上で、食材費や人件費などが高騰する中、価格転嫁が思うように進められなかったことなどから事業の継続が困難になったとして裁判所に破産手続きを申請するとしています。
広島市中区に本社がある「ホーユー」は、学校の給食や学生寮、官公庁の食堂の業務などを手がけてきましたが、9月に入ってから各地の高校や特別支援学校、警察学校などで給食や食事が提供できなくなっています。
この問題で、茨城県那珂市にある県立の児童自立支援施設でも会社側から給食の提供ができなくなったと伝えられ対応に追われています。
那珂市にある茨城県立の児童自立支援施設、「茨城学園」は、小学3年生から中学3年生までの24人が施設の寮で生活しています。
施設によりますと、児童や、寮で生活を共にする職員の1日3食分の給食を広島市中区に本社がある「ホーユー」に委託して会社の従業員が施設内の調理室で調理していました。
ところが、9月5日、調理を担当していた会社の従業員から今後、給食の提供ができなくなったと報告を受けたということです。
施設側はその従業員と相談し、6日と7日の朝食については在庫の食材を使って、作ってもらうことになったということです。
また、その後の食事は、近隣の業者を探し、およそ1か月分の弁当を注文したということです。
施設側は、詳しい事情を知りたいと広島市の本社に電話で問い合わせているものの連絡が取れていないということです。
茨城学園 関根正弘 園長
「会社と連絡がまだ取れていないことは残念だ。子どもたちに、3食おいしい食事をとってもらい、生活に影響がないようにしていきたい」
また、神奈川県教育委員会によりますと、県内の県立学校では川崎高校の食堂が、ホーユーに運営を委託しています。
高校によりますと、食堂は通常通り運営されていて、9月12日までの分の食材はすでに納入されているということです。
また、文化祭のため13日から22日まで、食堂は休業する予定で、当面大きな影響はないということです。
一方、ホーユーからの連絡はないということで、県や学校では情報収集を進めるとともに、新たな業者に食堂の運営を委託するかどうかも含め、検討することにしています。
会社のホームページによりますと「ホーユー」は広島市中区に本社があり、2020年4月現在、従業員数はパート従業員を含め586人です。その上で、中国地方や四国を中心に学校や学生寮、官公庁、企業などの食堂や給食の業務を担当しているとしています。
ホーユーグループの営業所は、中国地方と四国に加え、九州や近畿、東海、関東、それに東北のあわせて22か所にあると掲載されています。
「ホーユー」の山浦芳樹社長は9月6日、取材に応じ「来月初旬までは業務を続け、ほかの事業者に引き継ごうと考えたが、時間的な猶予がなかった」と述べ、全国のおよそ150の施設の半数近くで給食や食事が提供できなくなっていることを明らかにしました。
また「一部の施設については別の事業者に業務を引き継ぐメドがたっている」としています。
事業の継続が困難になった理由については「食材費や光熱費、人件費が高騰する中、学校などに値上げを相談したが、思うように価格転嫁が進められなかった」と説明しました。
その上で、裁判所に破産手続きを申請する考えを示し「国の制度を使い、従業員にこれまでの給料を支払いたい」と述べました。