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「トー横」に集まる子どもたちへ支援は? QAで詳しく

  • 2023年7月27日

東京・新宿区歌舞伎町の中心部にある大型商業ビルの周辺、通称「トー横」。数年前から虐待やいじめなどを理由に居場所のない中高生などが集まるようになり、性犯罪に巻き込まれたり、自殺したりするケースが確認されています。こうした問題を受けて、都の協議会は、対策をとるよう答申しました。子どもたちに必要な支援の内容とは?

なぜ「トー横」対策が必要?

Q. 子どもたちはなぜ「トー横」に集まるのか

協議会の調査によると、「トー横」に集まるのは家庭や学校で悩みを抱えた子どもたちです。
家庭関係では、▼家族との不和、▼児童虐待、▼貧困等など。
また、学校関係では、▼友人との不和、▼いじめ、▼学習面の悩み、▼不登校などが要因としてあげられています。
複数の悩みが複合的に絡み合っている場合もあり、子どもたちは「同じような境遇の人に会いに来た」や「『トー横』は自分のことを否定せず認めてくれる」などと「居場所」を求めて来ているとしています。

Q. なぜ協議会は東京都に対策を求めたのか?

『トー横』に集まる子どもたちは、新宿区以外や都外の道府県から訪れていることが多いため、新宿区固有の問題としてではなく、広域自治体である都が向き合う必要があると指摘しています。また、今後、『トー横』以外の場所でも、同様の問題が起きることも想定できるため、対策の検討を進めるべきとしています。

Q.今回の答申の内容でこれまでの対策と異なる点は?

答申では、行政や警察など、関係機関が対策を講じているものの、状況に改善が見られないと指摘しています。そのひとつの背景として、子どもたちが行政などの公的機関や、いわゆる「上から目線」の大人に対し、甚だしい拒絶感を有していることを挙げています。子どもが拒絶感を覚えるような「これをしてはダメ」という、大人の一方的なコミュニケーションはやめて、彼らの心情に寄り添う工夫をするべきだとしています。 

これを踏まえて具体的には次のような対策を東京都に求めています。

具体的な対策とは?

〇子どもが気軽に相談できる窓口
「トー横」を訪れる背景にある悩みや不安を聞いて、一人ひとりのニーズに応じ寄り添うことのできる相談窓口を構築すべきとしています。そして、身を守るために必要な情報を伝えるとともに、従来の支援活動に捉われない体制づくりを求めています。被害の予防だけではなく、すでに被害に遭ってしまい誰にも話せず孤立感を深めているというような相談にも対応することも求めています。子どもたちが心を許して相談できるようになれば、「トー横」に代わって、自らを認めてくれる「居場所」として窓口が機能する可能性があるとしています。

〇早急な実態把握
また、「トー横」における子どもたちの実態を早急に把握することを求めています。
子どもたちは、警察を避けようと、「トー横」周辺のホテルやネットカフェを「居場所」として過ごしているケースが多く、そのような閉鎖空間で犯罪被害に遭う可能性が高いものの、実態や被害状況がよく分かっていないとして、実態把握を急ぐよう求めています。

〇児童買春などの加害者側の大人への対策
児童買春など、大人による加害に関しても、対策が必要だとしています。答申では、歌舞伎町でのナンパや客引きなどをきっかけに子どもに加害するケースや、青少年グループと親しい大人が言葉巧みに騙すなどして加害に至るケースなどが確認されていると指摘しています。子どもたちが「トー横」に集まるのにあわせて、悪意のある大人もその近くに集まり、彼らを「虎視眈々と狙う構図」ができているとして、警察の取締り強化や啓発などの推進を求めています。

〇保護者への支援
子どもが犯罪に巻き込まれるなどした際に、保護者向けの相談先が十分に周知されているとはいえないとして、都が関係機関をとりまとめ、パンフレットや都のホームページに公開するなどの工夫が必要だとしています。

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