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“コロナ「第9波」第8波を超える可能性も” 感染者数の見通しは

  • 2023年4月20日

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合は19日、5月の大型連休明けに感染が拡大することがあり得ると分析しました。また、専門家会合の有志は「第8波」を超える規模の「第9波」が起きる可能性があるとする文書をまとめました。この文書の詳しい内容や専門家による今後の感染状況の見通しです。

現在の感染状況 “全国的に緩やかな増加傾向に”

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、4月18日までの1週間の新規感染者数は全国では前の週と比べて1.06倍と多くの地域で増加が続いています。
首都圏の1都3県では、東京都が1.05倍、神奈川県が1.02倍、埼玉県が1.11倍、千葉県が1.03倍と増加しています。

“再び夏に向けて感染拡大が起きる可能性”

厚生労働省の専門家会合は4月19日、新規感染者数は全国的に緩やかに増加していて、今後は、横ばいから緩やかな増加傾向が続く可能性があるとしました。そして、これまでの傾向を踏まえると接触機会が多くなる大型連休が明けたあとで感染が拡大し、いったん減少するものの、再び夏に向けて感染拡大が起きる可能性があるとしています。

その上で専門家会合は、ワクチンや感染でできた免疫が時間とともに下がっていくこと、それに、免疫を回避する新たな変異ウイルスの割合が増えることなどによる影響に注意が必要だと指摘しました。

専門家会合は、5月、新型コロナの感染症法上の位置づけが「5類」に移行される中でも地域での流行状況に関心を持ち、自主的に感染を防ぐための行動をとって、特に重症化リスクの高い高齢者に感染が及ばないようにする配慮が重要だとしています。

“第8波を超える「第9波」の可能性も”

また、専門家会合の有志は、「第8波」を超える規模の「第9波」が起きる可能性もあるとする文書をまとめました。
文書は、専門家会合の脇田隆字座長や東北大学の押谷仁教授ら4人の専門家がまとめました。

この中では対策の緩和が進む中で、現在、感染者数が増加に転じる地域が増えてきていて、今後、第9波が起きる可能性が高いとしています。

そのうえで、日本国内では新型コロナへの感染によって獲得した免疫を持つ人は、住民を対象にした抗体調査でもことし2月から3月の段階で32.1%と割合が低いことなどから、第9波は第8波より大きな規模になる可能性が残されているとしています。

死亡 海外と比べ多い状況で推移する可能性

また、日本は高齢化率が高く、仮にワクチンの接種率が上がらないまま、感染の規模が大きくなるとすると、亡くなる人の数は高齢者を中心に海外と比べて多い状況で推移する可能性があるとしています。

そして、新型コロナの感染症法上の位置づけが「5類」に移行されても、高齢者などへのワクチンの追加接種、介護や医療現場での感染対策、それにウイルスの遺伝情報の分析などは必要だとしています。

“今後 増加傾向が続いてもおかしくない”

19日に開かれた厚生労働省の専門家会合のあとの記者会見で、脇田隆字座長は、感染の今後の見通しなどについて次のように述べました。

〇今後の見通しについて
2022年の『第6波』や『第7波』、2023年の初めにかけての『第8波』で感染がある程度広がったり、ワクチン接種が進んだりしたことで得られた免疫が、ピークを越えて低下してきている。さらに、人々の活動のレベルが戻り、接触の機会が増え、オミクロン株のうち感染力が高く免疫から逃れやすいとされる『XBB』系統への置き換わりも進んでいる。疫学の専門家からは非常に予測が難しいという議論があったが、今後、増加傾向が続いてもおかしくない。

〇感染者数の把握
これまで大型連休や夏休み、お盆など年中行事にあわせて感染者が増える傾向があり、定点把握に切り替わった後も流行状況の監視を続けていく必要がある。

〇重症化リスク高い人は
高齢者や基礎疾患がある人など、重症化リスクが高い人は引き続き感染対策に気を配ってもらうとともに、5月からは重症化リスクが高い人を対象にワクチンを接種する機会が始まるので、積極的な接種をぜひ、お願いしたい。

専門家会合 感染状況に応じ不定期開催に

専門家会合は、新型コロナの感染が国内で広がった初期の2020年2月に設置され、おおむね1週間から2週間おきに定期的に開かれてきましたが、「5類」への移行に伴って次回以降は感染状況に応じて不定期に開かれることになります。
専門家会合のメンバーは、会合が開かれない間も必要に応じて感染状況や医療の状況などを確認して分析するとしています。

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