45年前のオープン当初「国内で最も高いビル」として東京を象徴する超高層ビルだった池袋の「サンシャイン60」。地上から221メートルの高さにある展望台が18日、リニューアルオープンしました。
新たにターゲットとしたのは親子連れ。背景には人口減少への地域の危機感がありました。
荒木さくらアナウンサーが取材してきました。
豊島区の池袋にある「サンシャイン60」は高さおよそ240メートルで、昭和53年の開業当初は国内で最も高いビルとして多くの人に親しまれてきました。オープン当初、「国内で最も高いビル」として東京を象徴する超高層ビルだったのです。
そんなビルの地上221メートルにある有料の展望台では、半年間の改修工事を経て、4月18日リニューアルオープンしました。親子連れもターゲットにするため、超高層ビルにある展望台としては珍しく人工芝を張り、公園のように寝転べる施設となっています。
テーマは“空の公園”。
床の一部には人工芝が張られていてくつろぎながら景色を楽しむことができるほか、平日のお昼の時間帯は弁当を持ち込むこともできます。
アロマの香りに緑の芝生。とてもリラックスできるスペースです。横になりながらスカイツリーなどを見ることができます。地上60階ですが、横たわって景色をみているせいか、そんなに高いところにいる気がしません。すごく不思議な感覚です。
オープン初日には、展望台に向かうエレベーターに40人ほどの列ができるなど多くの親子連れなどでにぎわい、芝生に寝転びながら町並みを眺める人たちの姿もみられました。
また、展望台は子どもも楽しめるように窓の高さが下げられているほか、雨の日でも親子連れが過ごせるように絵本やおもちゃが置かれていました。
埼玉県所沢市から訪れた母親
「お弁当が食べられると聞いて作ってきました。町並みがジオラマのようにみえておもしろいです。池袋は電車一本で来られますが、公園も増えて変わりましたね」
板橋区から訪れた母親
「子どもは高いところが初めてなので、楽しんでいます。生活圏内に子どもが遊べる場所が増えてよかったです」
展望台、実は7年前にもリニューアルされていました。
2016年の改修の際はVR=バーチャルリアリティーの技術を体験できる場所として、未来の東京を飛び回るようなアトラクションや、センサーに反応して大画面上で雲を集めたり竜巻を起こしたりできる設備もありました。
新型コロナの影響もあり、体験型の施設への人気も伸び悩む結果となったのです。
VRのような最新技術を生かした空間から“空の公園”へと大幅な転換を図った運営会社。区のまちづくり戦略も参考に、沿線住民など、地域の住民をターゲットに「何度も訪れるような施設づくり」を心がけたといいます。
豊島区は平成26年、民間の有識者でつくる組織によって将来的に女性の数が減少し、消滅の可能性があると23区で唯一、指摘されました。
これを受けて区は女性の視点を入れたまちづくりを進めていて、力を入れたのは従来「暗い」とか「怖い」などとイメージされがちだった区内の公園を親子で利用しやすいものに整備することです。
池袋駅周辺の4つの公園については、芝生の広場を整備したほか、オープンカフェや野外劇場などそれぞれに特色があります。今回の展望台もこの公園のイメージを参考に、若い人たちだけでなく、家族連れでも楽しめるようなコンセプトにしたということです。
妹とその子どもと訪れた練馬区の女性
「池袋は今まで若者向けのイメージがありましたが、ファミリー層も楽しめると思いました」
池袋も東口で再開発の計画が進んでいるほか、新宿や渋谷など都内では超高層ビルの建設が再び加速しています。
すでに高さを誇る時代ではなくなる中、「サンシャイン60」の運営会社では、入館者へのアンケートもとるなどして、地域の住民が何度も訪れたくなる施設づくりを考えたということです。
「てんぼうパーク」運営担当 篠原聡 課長代理
「池袋は若者とファミリー層が共存しているのが魅力だと思うので、今後幅広い世代が楽しめるようにイベントなどを行い、盛り上げていきたい」