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物価高で「訳あり商品」が人気 9割引きの商品も 「おせち」も人気

  • 2022年12月28日

何かと買い物も増える年末年始。物価上昇が重くのしかかるという方も多いと思いますが、最近、人気を集めているものがあります。賞味期限がせまるなどして捨てられてしまう食料品などの“訳あり商品”です。
この時期ならではの「おせち」も人気のようです。

通常価格の「最大9割引き」

東京・足立区にある店舗では企業から買い取ったまだ食べることができるのに廃棄される予定だった食料品や持ち寄られた賞味期限が迫った食品などおよそ300品目を販売しています。

中にはレトルト食品やお菓子、飲料などがあり、最大で通常価格の9割引きで売られています。
店によりますと、値上げラッシュとなった10月の売り上げは9月よりも30%増えたということです。

店では、訪れた人が値札の色によって賞味期限までの日にちや賞味期限が過ぎているかなどをわかるよう工夫しています。

店を経営 尾形祐介さん
「賞味期限が迫ったものなど“訳ありの商品”を取り扱う店は最近、増えていると感じます。食べることができる商品は廃棄すべきではないという意識を多くの人に持ってもらえればと思います」

ネット販売も人気 おせちも

物価の上昇が続く中、賞味期限がせまるなどして捨てられてしまう食料品などを安く販売するインターネットサイトの利用も増えています。

インターネットサイト「Kuradashi」では、2015年から賞味期限がせまったり、パッケージに傷がついたりしたなどを理由に捨てられてしまう食料品などを買い取り、安く販売しています。

販売されているのは肉や野菜、果物などの生鮮食品、ビールやワインといった酒類など、およそ2000品目で、希望小売価格の半額や中には9割引きで売られているものもあります。

年末となり売り上げが伸びているのは冷凍や冷蔵のおせちで、ことしの売り上げの件数は、26日の時点で去年のおよそ2.4倍に増えています。

サイトの運営会社によりますと、おせちの需要はいわゆる「巣ごもり需要」で増加してきましたが、ことしは新型コロナの行動制限がないことなどから販売会社では想定した予約数を下回るなど売れ残ったものが多く、サイトで取り扱う商品の数も増えています。

その一方で、物価の上昇を受けておせちを安く購入したいという人が増えているということです。

また「ワイン」の売り上げの件数も増加傾向が続いています。
値上げラッシュとなった10月は前の月のおよそ1.9倍に増加したということです。

サイトの利用者は

このサイトを利用する都内の40代女性。
夫と中学生の息子と3人家族で、去年までは年末にエビや数の子、黒豆などの食材を購入し、2日かけておせちをつくっていました。

しかしことしは相次ぐ食料品などの値上げを考えてサイトを利用して冷凍のおせちを購入しました。

このおせちは3段重ねになっていて、うにや数の子、ロブスターなどが入っていますが、箱に傷がついたという理由で小売店などでは販売されず、価格は希望小売価格の半額の1万円だったということです。

女性

食材が大丈夫であれば何も気にすることはないと思いました。どういう理由で価格が安くなっているのかの説明もきちんと書いてあるので安心です。

女性は物価の上昇が続く中、できるだけ食費などの節約を心がけています。
おせちだけでなく、缶にへこみがある缶詰や販売時期が過ぎたとして店頭に並ばないインスタントの味噌汁などもサイトを利用して購入しています。

また、スーパーなどで買い物をする際には必要なものを書き出したリストをつくるほか、冷蔵庫の中や調味料を置いた棚の写真をスマホで撮影してそれを確認しながら買い物をすることにしています。

こうした節約を続けた結果、1か月当たりの食費が2万5000円ほど減らすことができたといいます。

また、サイトで販売されている食品などの中には一般には販売されず企業が廃棄する可能性が高いものも多くあります。サイトでは購入したことでどの程度、食品ロスの削減につながったのかの表示もしていて女性は環境問題にも貢献できていると感じています。

 

物価高になったことで食品ロスをなくすことが大事だという意識がより高くなりました。安く買うことができますし良い取り組みだと思います。

食品ロス削減に

このサイトでは「3分の1ルール」と呼ばれる仕入れの慣行で廃棄される予定だった商品も多く取り扱っています。

「3分の1ルール」は、賞味期間が6か月の食品の場合、原則としてその3分の1にあたる製造から2か月以内の商品しかスーパーなどが仕入れないというもので食品廃棄の増加につながっていると指摘されていて、農林水産省は徐々に見直しを進めているといいます。

農林水産省によりますと国内で発生した食品ロスの量は2020年度、522万トンと推計され、その削減が社会的な課題となっています。

運営会社はこのサイトでの販売などを通じて2015年2月からことし9月までで、累計でおよそ1万2000トンの食品ロスの削減につながったとしています。

サイトの運営会社 築地雄峰さん
「利用する人が楽しみながら買い物をできるようにすることで食品ロスの削減にもつなげていきたい」

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