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コロナの影響で小学校の運動会は?東京23区に聞きました

  • 2021年6月14日

新型コロナウイルスの影響で東京23区では6月までに行う予定だった運動会について40%近くの小学校が延期や中止の対応をとったことが分かりました。専門家は「子どもたちには中止や延期の理由を丁寧に説明し、運動会に代わる発表などの場を設けてほしい」と指摘しています。

38%の小学校が運動会を延期や中止

4月から都内で3度目となる緊急事態宣言が出される中、NHKでは東京23区の区立小学校823校について、今年度の運動会の実施状況をそれぞれの区の教育委員会に取材しました。

今年度の運動会を6月までに実施する予定だった区立小学校は458校で、このうち感染拡大への懸念から延期や中止を決めた学校は176校と、38%を占めることがわかりました。

一方、6月までに運動会を予定通り実施したのは62%にあたる282校でしたが、密集を避けるために学年ごとに分けたり、体が接触する種目はなくしたりしたほか、開催時間の短縮や保護者や来賓を呼ばず児童だけで行うなど、すべての区で感染拡大前と比べて、規模を縮小したり、制限したりする形で実施するよう求めたということです。

また、昨年度の同じ時期に予定した運動会の実施状況についても聞いたところ、全体の60%を占める少なくとも495校が中止や延期にしていて、2年度にわたり多くの学校で新型コロナの影響を受けていることが分かりました。

新宿区 宣言期間中は保護者の参観なしなど通知

新宿区では、29の区立小学校のうち20の学校で今年度の運動会を6月までに行う予定でしたが、実施したのは3校にとどまり17校は延期しました。
区内では学校でのクラスターは起きていないものの、家庭内での感染が確認された児童もいる状況で、区の教育委員会は緊急事態宣言が出されている中での運動会の実施について、すべての学年が一堂に集まる開催はせずに分散させ、宣言の期間中は保護者の参観を行わないよう文書で各学校に通知しました。

新宿区教育指導課の荒井亮宏課長は、「本来は子どもたちが1番いい形で日ごろの活動を発表できるのが望ましかった。保護者や地域の方にも見ていただきたい思いもあったが、何としても感染拡大を防ぎたい面もあり、運動会の実施に制限があることは非常に苦しい思いだ」と話していました。

また、昨年度も6月までに行う予定だった25の小学校で運動会が中止になるなど影響が長期化していることについて、「子どもたちにとって学校行事を通して学ぶことはかなり大きく、影響がないとは思っていない。さまざまな行事を出来る限り行うよう努力することも大切なことだと思っている」と話していました。

専門家「運動会に代わる場を設けるなど工夫を」

学校運営に詳しい宮城教育大学の本図愛実教授は、次のように指摘しています。

●運動会がないことの影響は
「運動会は、子どもにとってはほかの児童と競い合う中で、達成感を得たり悔しさを感じて乗り越えていく力を養ったりする貴重な場であるとともに、保護者や地域の人から認めてもらう場でもある学校行事であり、2年連続でなくなれば影響は大きいと思う」

●教育委員会や教師がすべきことは
「子どもたちの安全を考えて運動会を中止したり縮小したりするのは理解できるが、子どもにとっては『なんでオリンピックはあるのに運動会はないんだ』と感じても当然だし、直接声を上げなくても行き場のないもやもやとした気持ちはあると思う。認識の差が出やすいところなので、教育委員会や先生たちはそうした思いに寄り添い、子どもたちの発達段階に応じて丁寧に説明をしたり、運動会に代わる発表や活動の場を設けたりと工夫してあげてほしい」

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