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人生の選択「エプロンでおうち時間にエールを ~勝田亜純さん~」

  • 2023年6月23日

さまざまな選択がある「人生」。人生の岐路で、どんな選択をしてきたのか…
今回の「人生の選択」は、視聴者から寄せられたお便りをもとに、取材しました。

(ひるまえほっと/リポーター 西村美月)

エプロンブランド代表の、勝田亜純(かつた・あずみ)さんです。

エプロンというと、料理や掃除など家事をするときにつけたり、料理教室の先生や生花店の方、保育園の先生など必要な人がつけるもの、というイメージですよね。
そのエプロンを、洋服のように好きなデザインで楽しみたいと、自分で作り販売しています。おしゃれに敏感な主婦や、仕事でつけるエプロンにこだわりたい人たちが店を訪れます。

東京・世田谷区にあるショールームには様々なデザインのエプロンが並びます。

私も試着させて頂きました。

最新のデザインは、色とりどりの麻100%の生地に、ポリエステルのリボンを組み合わせています。

西村
リポーター

麻100%で、こんな手触りの麻があるんですか?

 

勝田さん

手触りもやわらかで、薄すぎず厚すぎず、エプロンに適した生地を選びました。

勝田さんの「人生の選択」①
“ものづくり”が原点にある幼少時代

勝田さんは、“ジーンズの街”として知られる岡山県倉敷市の出身。幼いころから家の中は、手作りの品でいっぱい!両親が洋服の生地を扱う仕事をしていて、布や裁縫道具など材料があふれていたそうです。

中学生の頃の勝田さん(左)勝田さんのスカートと妹たちの洋服は、お母さんの手作り。※勝田さん提供写真

こうした環境の中で、勝田さんのその後の「人生の選択」の土台となる考えが育まれます。

ないものは、自分で作る

勝田さん自身も、高校に持っていくバッグが気に入らなくて自分で手作りするなど、「気に入るデザインで手作りする」という考えが、当たり前のようにあったと言います。ミシンはもちろん、余っている生地もたくさんあり、“ものづくり”することが当たり前の環境で育ったことが、勝田さんの生き方の土台となりました。

英語が好きだったという勝田さん。大学卒業後は通訳や翻訳の仕事を夢見て、イギリスに留学。
その後日本企業のイギリス法人に就職します。

イギリス時代の勝田さん ※勝田さん提供写真

就職してから2年後、勝田さんはビザの関係で帰国します。両親が起業した生地企画会社を手伝うことを念頭に置き外資系のアパレル会社で経験を積んだのち、両親の会社に入社。3姉妹の長女として、会社を継ぐことも視野に入れての決断でした。両親の会社では営業として岡山を拠点に全国を行き来する生活を送ります。

両親の会社に勤めていた時の勝田さん(右)※勝田さん提供写真

勝田さんの「人生の選択」②
結婚・出産を経て見つけた、働き方

そんな勝田さんに、2つ目の「人生の選択」が訪れます。それは、結婚と長女の出産。子育てをしながらでは岡山の仕事は続けられないと退職し、夫が暮らす東京で、専業主婦になったのです。

※勝田さん提供写真

 

実家の仕事は岡山が拠点で、移動も多い。子どもを保育園に預ける選択肢もありましたが、出産して“子育てをしたい”という気持ちが強くなったんです。

勝田さんは家事のために、これまでなじみのなかったエプロンを使うようになります。しかし、気に入ったデザインが見つからず、あまり身につけたい気持ちにならなかったそうです。

 

市販のエプロンは、かわいらしすぎたり、家庭的すぎたり。着たくて着るというより、仕方なく着るものでした。

家での時間を少しでも楽しみたい!そんな時に思い出したのが、“ないものは、自分で作る”の精神。おしゃれ着のように身につけられて、気持ちがあがるエプロンを手作りします。

創業当時のデザイン

勝田さんの「人生の選択」となる、仕事への思い。それは…

“ないものは、自分で作る”を仕事にしたい

作ったエプロンは、ママ友や妹など、周りの人たちにも好評。勝田さんは、これまでにないエプロンを作り、インターネットで販売すれば、家庭にいても仕事ができるのではないかと考えたのです。

2011年、勝田さんはネットショップを開設して自分のエプロンを販売し始めました。“洋服のように着られる”と口コミが広がり、百貨店でも販売されるようになります。

百貨店でエプロンを販売する勝田さん ※勝田さん提供写真

勝田さんの「人生の選択」③
コロナ禍で気づいた、エプロンの可能性

会社の立ち上げから9年目、試練が立ちはだかります。新型コロナの感染拡大をきっかけに、百貨店での売り上げがほとんどなくなってしまったのです。

 

おもてなしする機会や、料理教室などもなくなり、おしゃれにエプロンを身につける機会が減ってしまいました。“私のエプロンを買う人はいるのだろうか?”と悩み、立ち止まりました。

エプロンの需要が激減する中、勝田さんが活路を見出したのがSNSでした。ライブ配信で、肩がこらないエプロンの着方、リボンを上手に結ぶ方法、簡単にエプロンのしわを伸ばす方法など、エプロンそのものの魅力の発信を続けます。
積極的に発信を続けるうちに、エプロンの売り上げは徐々に回復。また不自由なコロナ禍でも“おうち時間”を楽しむ人たちとSNS上でつながっていきました。

その中で勝田さんは、自身のエプロンに新たな可能性を見出します。

エプロンでおうち時間を楽しんでほしい

 

それまで私のエプロンは“ちょっと特別なときにつけるもの”だったと思うのですが、“おうち時間を充実させるためにつけるエプロン”という新しい発信ができるのでは、と気づいたんです。

料理教室を主宰する山田かずみさんも、SNSで勝田さんのエプロンを知り、愛用している1人です。

都内で料理教室を主宰。長年の海外生活を経て、帰国後、ホテルのレストランに勤務した山田さん。基本の食材プラスαで作れるおもてなし料理を教えています。

山田さんは、家にいる時間のほとんどを、エプロンをつけて過ごしていると言います。

勝田さんのエプロン以外にも、いくつかのエプロンを使い分ける山田さん。左は掃除用、右は料理の下ごしらえ用。もともとは肩こりを気にして腰巻き型のものを愛用していましたが、勝田さんのエプロンは首や肩かけでも気にならないほど軽い着け心地だと話しています。

中でも勝田さんのエプロンは山田さんにとって、教室や来客のときなど大切な時間に身につける“おしゃれ着”のようなものだと言います。

山田さん

色使いも、素材感も、ちょっとおしゃれなところも好き。私にとって勝田さんのエプロンは特別なんです。

SNSを通じて多くの人とつながった勝田さんが見つけた、新たな「人生の選択」。それは…

勝田さんの「人生の選択」④
エプロンでエールを送る

勝田さんは去年から、エプロンのオーダーメードをスタートさせました。32色の生地と16色のリボンから好きな色の組み合わせを選べる仕組みです。個性を打ち出したいと考えるユーザーからは、勝田さんが思いつかない色の組み合わせの発注もあり、驚くことも多いそうです。

勝田さんのショールームでオーダーメードのエプロンを見つくろう人たち。思い思いの生地を胸に当てて、お気に入りの色を選んでいました。

 

家事や仕事で疲れていても、お気に入りのエプロンをつけるだけで元気が出る。これからもエプロンをつけて働く忙しい人たちを応援していきたい。時代に合ったおしゃれなエプロンを作っていきたいです。

“自分の作るエプロンを通じて、おうち時間を頑張る人たちにエールを送り続けたい”
今の、勝田さんの思いです。

 

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