ページの本文へ

  1. 首都圏ナビ
  2. ちばWEB特集
  3. 千葉・養老渓谷 大雨被害 旅館の営業再開 復旧・復興への動きは 支援金の呼びかけも

千葉・養老渓谷 大雨被害 旅館の営業再開 復旧・復興への動きは 支援金の呼びかけも

  • 2023年09月14日

(※2023年10月6日に記事を更新しました)

紅葉の名所として知られる、千葉県の「養老渓谷」。旅館が建ち並び、これからの秋が観光シーズンとなります。

しかし、9月8日の記録的大雨で近くを流れる養老川があふれ、広い範囲が浸水。旅館の中には営業を再開できたところもあれば、復旧に向けて奮闘しているところもあります。

大雨から1か月。被害の現状と復旧への見通しを取材しました。

(千葉放送局記者・坂本譲)

“紅葉の名所”に大きな被害

房総半島のほぼ中央に位置し、市原市と大多喜町にまたがる「養老渓谷」は紅葉の名所として知られ、毎年秋が深くなると多くの観光客が訪れています。

しかし、9月8日の記録的な大雨では、渓谷を流れる養老川の水があふれ、旅館が建ち並ぶエリア一帯は大きな被害を受けました。

9月8日の養老渓谷の様子(撮影:秋葉保雄さん)

地元の観光協会によりますと、「養老渓谷」にある旅館・民宿あわせて9軒のうち、7軒が浸水するなどの被害を受けました。

一部は9月14日までに営業を再開しましたが、4軒では復旧作業が続いていて、再開の見通しが立っていないところもあります。

10月6日時点の旅館・民宿の営業状況

<営業中> 嵯峨和、天龍荘、さかや、川の家、福水

<営業再開予定> もちの木(10月21日~)、滝見苑(11月2日~)

<当面休業> 鶴乃家、喜代元

川沿いの遊歩道は崩落などして通行止めに(9月14日撮影)

復旧へ奮闘の旅館は

養老川のそばにある旅館「喜代元」です。

9月8日の大雨では、壁の高さ1.5mほど(茶色い線のある部分)まで川の水が押し寄せました。

大雨の翌日(9月9日)の様子

台所や事務所などが入る1階部分が浸水。冷蔵庫やパソコンなどが壊れました。さらに、去年リニューアルしたばかりの宴会場も水につかりました。

大雨の翌日(9月9日)の様子

大雨からまもなく1か月となる10月6日、改めて旅館を訪ねました。

 

従業員が、庭や床下などに流れ込んだ泥をスコップでかき出していました。

旅館の主人 秋葉保雄さん

当初は廃業も頭をよぎりましたが、1か月がたち、再開に向けて頑張ろうという気持ちに変わってきています。

土砂の撤去や水につかった機材の運び出しなどは、10月中に終える見込みです。ただ、水につからなかった2階部分を旅館の中心とする改装などを検討しているので、再開の時期はまだ決まっていません。

お客様から再開を待つ声ももらっているので、なるべく早く再開に向けた青写真を描いていきたいです。

観光協会が寄付呼びかけ

この旅館を含めて、大きな被害を受けた施設の復旧には、多額の費用がかかる見込みです。

市原市観光協会では、ホームページなどで寄付金を募って支援を呼びかけています。

また、養老渓谷の観光協会は、クラウドファンディングを立ち上げて資金を集めることなども検討していて、今後、市や町とも協議したいとしています。

養老渓谷観光協会
秋葉保雄 会長

養老渓谷のファンの皆さんから、支援の声をいただけるのであれば、ぜひそれをみんなで分かち合って前向きに復興を考えていきたいと思います。

私たちの復興は、まだ1年後や2年後かもしれず、長い道のりになりますが、養老渓谷がやっぱり良くなったと言われるようにしていきたいです。

いち早く営業再開の旅館も

一方で、9月のうちに営業を再開したところもありました。養老渓谷にある旅館「嵯峨和」です。

8日からの大雨では、裏手にある水路から水が押し寄せ、台所などが床上まで水につかりました。ボイラーや温泉の湯を送るモーターが壊れました。

水につかって壊れたボイラー(9月14日撮影)

しかし、従業員や親戚の助けを借りて館内の泥水をかきだし、モーターを予備のものに取り替えるなどして、9月11日にいち早く営業を再開しています。

温泉が張られた浴場
主人
佐川郁夫さん

被災直後はネットの回線や電話が繋がらず、お客さんは気を揉んでいるだろうと思い、いち早く復旧し、営業を再開しました。

地域全体で被害を受けましたが、皆さんの気持ちがあれば、必ず良くなると信じています。お客さんに安心感を持ってもらえるよう、頑張って商売をやっていこうと思います。

小湊鐵道にも被害が

JR内房線と五井駅で接続し、養老渓谷までの鉄道輸送を担ってきた「小湊鐵道」も、深刻な被害に見舞われています。

小湊鐵道の今後の再開見通し・社長インタビューはこちら👇
小湊鐵道 大雨で一部路線が不通 全線復旧は 赤字で市原市に支援要請も 千葉

  • 坂本譲

    千葉放送局記者

    坂本譲

    2020年入局。ことし5月に養老渓谷を訪れたばかりで、変わってしまった景観に驚きを隠せません。継続的に、養老渓谷の復旧復興の過程を取材したいと思います。

ページトップに戻る