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台風13号 大雨の被害は 千葉・茂原 市原 大網白里など 一夜明けた現場から【随時更新】

  • 2023年09月09日

台風13号の影響で「線状降水帯」が発生し、記録的な大雨に見舞われた千葉県。

茂原市などを中心に約2300棟の住宅で床上や床下の浸水が確認されています(19日現在)。

茂原市、大網白里市、市原市、鴨川市などの被害の状況と、鉄道の復旧状況などについて詳しくお伝えします。

(※19日午後4時現在の数字に更新しました)

記録的大雨 被害の全容は(※19日午後4時現在)

千葉県は、記録的な大雨による被害状況を、19日午後4時現在でまとめました。

8日の茂原市役所周辺の様子

【人的被害】5人が軽いけが

市原市で、90代の女性が裏山が崩れて下半身が土砂に埋まり、両足に軽いけが。

千葉市で、10代の住民が腕を打撲するなど、あわせて3人が軽いけが。

市原市の70代の男性が、近くの山が崩れて土砂が自宅に流れ込み、下半身が土砂に埋まって軽いけが。

【住宅被害】床上浸水1092棟(16市町村)、床下浸水1207棟(23市町村)、一部損壊40棟(8市町)

▼床上浸水は、茂原市で891棟、長南町で46棟、山武市で42棟、大網白里市で41棟など。

▼一部損壊の住宅が、長南町で19棟、鴨川市で10棟、大多喜町で4棟などであわせて40棟。

農業被害 15億円近くに

千葉県によりますと、県内各地では、記録的な大雨による浸水や土砂崩れで農作物や水産業への被害が相次ぎました。

このうち農作物については、▼富里市や多古町などで、にんじんや大根が水につかって出荷できなくなるなどの被害があったほか、▼千葉市や四街道市では、収穫を間近に控えたコメへの被害も出て、被害額はあわせて1億2000万円余りだということです。

また、▼農地や農道、農業用の水路への被害は、あわせて700か所近くで確認され、あわせておよそ10億3000万円の被害額と試算されています。

このほか、▼鴨川市で牛舎が浸水して牛5頭が死ぬなど、畜産施設が被害を受けたり、▼漁港に流木が流れ込んで撤去が必要になったりするなど、被害額は農林水産業全体でおよそ14億8000万円に上るということです。

鴨川市 牧場の被害は

12時間雨量が294.5ミリと、統計を取り始めてから最も多くなった鴨川市。山あいにある浜荻地区では、付近を流れる袋倉川から土混じりの水が流れだし、牧場や商店に被害が相次ぎました。

乳牛70頭あまりを飼育していた「吉野牧場」では、牛舎が約2メートルも水につかりました。

牧場を営む吉野義浩さんは、牛舎の柱にしがみついて無事でしたが、飼っていた牛5頭が溺れたり流されたりして死んだということです。

吉野さんは友人などと、流れ込んだ泥を片づけていますが、多くは手がつけられていない状態だということです。

搾乳機やトラクターなど、あわせて1億円あまりの機械が壊れ、餌をあげたり搾乳したりすることが出来ないため、子牛7頭以外の多くは処分せざるを得ず、酪農を再開するめどはたっていないということです。

吉野義浩さん

生活が再建できない状態でどうしようもない。収入はゼロです。

牛にかわいそうな思いをさせたくないが、搾乳ができず、えさをやれないのが現実です。こんなかたちで酪農をやめたくない。

停電で水産物の被害も

同じ鴨川市の浜荻地区で、水産物の卸売りや小売を営む「金谷商店」では、倉庫や冷凍庫に水が流れ込み、加工前のアジやキンメダイなどがつかりました。

ホタテやエビなど、加工済みの冷凍商品を保管する冷凍庫も、5時間ほど停電したため、中の商品が溶けて廃棄せざるをえなかったということです。

倉庫内の泥のかき出しは11日に終わり、資材の掃除や消毒などを急ピッチで進めていますが、あと数日は営業を再開できないということです。

金谷制 社長

悲しいの一言です。誰が悪いわけではないので前を向いてやっていくしかない。これからは休みなしで復旧を目指したい。

小湊鐵道 「板谷隧道」に被害

小湊鐵道は、里見~上総中野駅間で運転の見合わせが続いていましたが、16日から里見~月崎駅間で運転を再開しました。

月崎駅に到着した列車
都内 50代

月崎駅まで再開したので、先週に続いて列車の写真を撮りに来ました。

被害を受けたのは残念ですが、少しずつ運転再開の区間が伸びていって、全線で無事に復旧してくれればと思います。

トロッコ列車を楽しむ家族

小湊鐵道によりますと、残りの区間のうち月崎~養老渓谷駅間は、1か月程度での再開を目指しています。

月崎駅から上総中野方面 奥に倒木が見える

養老渓谷~上総中野駅間では、国の登録有形文化財にもなっている「板谷隧道」に、土砂が流入するなどの被害が出ています。

板谷隧道の様子
小湊鐵道のホームページより
板谷隧道の様子
小湊鐵道のホームページより

養老渓谷~上総中野駅間は、再開のめどが立っていないということです。

線路脇の斜面が崩れた様子
小湊鐵道のホームページより

運転を見合わせている区間については、バスによる代替輸送が行われています。

月崎駅の列車と代替輸送バスの時刻表

いすみ鉄道 13日から一部運転再開

いすみ鉄道は、12日まで全線で運転を見合わせていましたが、大多喜~大原駅間では、13日始発から運転を再開しました。

13日朝、大多喜駅では、近くの高校に通う生徒たちが次々と列車から降りてきて、歩いて高校に向かう姿が見られました。

高校生

代行バスで通学できていましたが、乗車人数が少ないので不便でした。いつものいすみ鉄道に乗れたのでうれしいです。

『い鉄』が復旧してくれてよかったです。

高校生

早く復旧になったので感謝しています。学生はみんな、バスより電車のほうが便利なので、感謝していると思います。

残りの区間は運転再開の見通しが立っていないということです。

これまでに大多喜町の4か所で、敷石や線路下の土砂が大量に流れ出ていて、特に上総中野駅と西畑駅の間は、レールと枕木が浮いた状態で被害が大きいということです。

10日、NHKのヘリコプターが撮影した映像より

大多喜~上総中野駅間は、13日以降もバスによる代替輸送を続ける予定だということです。

JR外房線 前倒しで12日運転再開

JR外房線では、11日まで千葉市緑区の誉田駅と鴨川市の安房鴨川駅の間で運転を見合わせていましたが、12日の始発から全線で運転を再開しました。

外房線では、土気駅と大網駅の間で被害が大きく、千葉市緑区の線路脇の斜面で土砂の流出が確認されました。

写真提供:JR東日本千葉支社

JR東日本は当初、運転再開は9月14日以降となる見通しを示していましたが、復旧作業が順調に進んだとして、12日から運転再開となりました。

通勤に毎日利用していたので、運転が再開して安心しています。

電車が動いていなかったため会社を休んでいたので、ようやく普通の生活に戻れたという感じがしてうれしいです。

12日朝の大網駅の様子

茂原市 広い範囲で浸水

8日、12時間に降った雨の量が371.5ミリと、統計を取り始めてから最も多くなった茂原市。市役所の周辺を含めて広い範囲が水につかりました。

一夜明けた、9日5時半ごろの様子です。水につかっていた橋の欄干には多くの草や土砂が積み上がり、流された車が路肩に残されたままになっていました。

浸水した自宅で片付けをする人の姿も見られました。

80代女性

胸の高さくらいまで水が来ました。自宅が浸水するのは4回目なので、またかという気持ちです。

80代男性

すごい勢いで水が入ってきました。怖いというよりもまた片付けをするのが大変だなという気持ちの方が大きいです。

浸水被害のあった自治体では、災害ごみの受け入れや災害ボランティアの受け付けなど、支援の動きが広がっています。

こちらの記事で支援に関する情報をまとめています👇

氾濫した「一宮川」とは

茂原市では、市内を流れる「一宮川」と、その支流で氾濫が発生しました。

茂原市の中心部がある地域は、「一宮川」の4つの支流が合流し、勾配が緩やかになるため氾濫が発生しやすくなっています。

「一宮川」の支流の「豊田川」が氾濫している様子

平成に入ってからは、▼平成元年の「台風12号」、▼平成8年の「台風17号」、▼平成25年の「台風26号」、▼4年前の令和元年の豪雨と、あわせて4回にわたって氾濫。

4年前は、約1760ヘクタールの地域が浸水して7人が犠牲となりました。

こうした被害を受けて、県は、周辺の6つの自治体とともに令和2年度から「一宮川流域減災対策会議」を立ち上げ、4年前のような大雨に対応できるよう、▼川幅を広げる工事、▼調節池の設置、▼堤防のかさ上げなどの対策を進めてきました。

茂原市内でも新たな調整池の整備を進めていた途中で、ことし7月末時点では、36万立方メートルの水が貯められるようになっていたということです。

4年前の浸水被害の教訓を生かせたのか 茂原市の住宅・老人ホームなどの取り組みは👇
浸水被害の茂原市 4年前も一宮川氾濫 教訓は生かされた? 浸水域の比較も 千葉

紅葉の名所「養老渓谷」の旅館・民宿の被害は?復旧への動きは?👇
千葉・養老渓谷 大雨被害 旅館の営業再開 難しいところも 復旧への動きは

大網白里市 保育園が浸水

大網白里市の「大竹保育園」では、床上30センチまで水につかりました。

臨時休園としているものの、いつから子どもたちを受け入れられるのか、見通しが立たない状況だということです。

翌日まで浸水続いた住宅街

大網白里市・富田地区では、一夜明けた9日朝も水が引いていませんでした。

住民は、長靴をはいて家の外の様子を見てまわったり、冠水した道路に車で入って出かけたりしていました。

40代男性

4年前の台風のときにも水が来ましたが、今回は水の量が多かったです。 きのうは30センチほどの高さまで水が来ていて、やっと引いてきたところです。安全に気をつけながら過ごしたいと思います。

60代女性

家の門の前まで水が来て、この先どうなるのかとヒヤヒヤしました。この場所はよく水がたまってしまいますが、いつもは1~2時間で引くのに、今回は町全体が水浸しなので長引いています。水が引くのを待つしかないです。

また、JR永田駅近くでは、9日午後も、水で流されてきた稲わらの片付けが行われていました。

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