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コロナ感染 自宅療養中の室内換気 効果的な方法は? 千葉 松戸

  • 2022年11月25日

新型コロナウイルスに感染したあと、自宅で療養する人も多いと思います。療養中、同居する家族への感染を防ぐ上でも必要なのが、室内の換気。ただ、外はこれから寒くなる一方…。どのように換気をするのが効果的なのか、迫り来る「第8波」を前に、専門家に話を聞きました。

(千葉放送局東葛支局記者・間瀬有麻奈)

冬の換気は寒いけど必要!

話を聞いたのは、産業衛生に詳しい橋本安全衛生コンサルタントオフィスの橋本晴男所長です。換気が感染対策で重要とされる理由には、感染者の咳などから出るエアロゾルがあるといいます。

橋本晴男さん

新型コロナの感染原因として、エアロゾル感染が大きいと言われています。エアロゾルはとても小さな粒子で、感染者が吐く息の中の二酸化炭素などと同じように、長時間、空気中を漂うため、換気をしないと室内の濃度が高まります。感染してない人が大量に吸い込むと、感染につながるため、部屋を換気して濃度を低くすることが重要なんです。

換気のシミュレーション

橋本さんは、千葉県松戸市からの依頼を受けて、去年、千葉大学の研究者などと換気の効果について実証実験を行っています。

(※動画は松戸市が制作したものをNHKが再編集し、3倍速にしています)

6畳の部屋に感染者が1人いる想定で行ったシミュレーションです。
まず、換気をしない場合です。
感染者から排出される赤いエアロゾルが部屋全体に広がってしまいます。

次に、換気をした場合です。
こちらが、窓を2か所開けて扇風機を「強」で外向きに動かした時の空気の流れです。
赤いエアロゾルは一時的に天井付近にとどまりますが、しばらくすると外に出されていきます。

自宅療養中の換気、どうすれば?

では、実際に感染して自宅療養となった場合、どのような換気の仕方がいいのでしょうか。

感染者が自宅で療養する場合、まずはほかの家族などと別に療養専門の部屋をつくることが大事です。
その上で、換気のポイントは3点あるといいます。

① 療養部屋の入口のドアを閉める

橋本さん

療養部屋の入口のドアが少し開いたりしていると、そこからウイルスを含む空気が外に出て広がってしまう可能性があります。
部屋の中にはウイルスを含んだ空気があると考えて、できるだけ他の場所に出さないよう、ドアを閉めることが必要です。

② 窓を常に15~20cm開ける

橋本さん

部屋の窓の1つを常に15~20cmくらい空けておくことが大事です。
療養時は安静にしているので吐き出す空気の量も少なく、窓を1つ開けておくので十分です。もし部屋に窓が2つある場合は、2つ開けるとより効果的になります。
2つ開ける場合は、1か所の開ける幅は10cmほどでもいいでしょう。

間瀬記者

冬は常に窓を開けていると寒いですよね?

橋本さん

例えば、家族が食事を療養部屋に持ってくる場合、直前に療養部屋の窓を開けて換気しておくというのも効果的です。
人が入って来る前に、30分ほど窓を30cmほど開けておくとか、窓を10分ほど全開にし、人が立ち去ったあとに閉める、そうした工夫をすることもできるでしょう。

間瀬記者

エアコンなど暖房器具を使っていても、窓の開け方は変えなくてよいでしょうか?

橋本さん

エアコンやストーブなどを使っている場合でも、換気の窓の開け方を変える必要はありません

③ 空気清浄機を活用

橋本さん

寒さなどで窓が開けられない場合には、空気清浄機(高機能フィルター付き)を療養部屋に持ち込んで活用するのが効果的です。
高機能フィルター付きの空気清浄機は、空気中に漂うエアロゾルを多く回収できます。
空気清浄機の運転の仕方については、強・中・弱などがありますが、「静かなモード」で十分です。空気清浄機を活用できれば、窓は開けなくても大丈夫です。

間瀬記者

空気清浄機を持っていませんが、しっかり換気したい場合はどうしたらいいですか?

橋本さん

療養部屋の窓を2か所開けて、扇風機を外向きに動かして換気を行うと、しっかりとした換気を行うことができます。シミュレーション動画では、その結果が分かるようになっています。

間瀬記者

「子どもと母親」など、2人が同じ部屋で療養する場合はどうしたらいいですか?

橋本さん

基本的に、これまで説明した1人で療養するときの換気方法と同じで大丈夫です。できる場合には、開ける窓の数や幅を増やして対応すると良いでしょう

一方で十分な換気をしていても、療養部屋に入る人はマスクを着用し、距離を取って、使い捨ての手袋を使うといった、基本的な対策も続ける必要があるといいます。
また、療養部屋以外の部屋でも、通常の換気をすることが感染防止につながるということです。

人が集まる場合はさらに換気を!

年末年始にかけては、家族や友人などが集まる機会も多くなってきます。
人が多く集まると、エアロゾルの発生も多くなります。橋本さんは、その場に感染者がいることを想定して、十分に換気を行うことが重要だと指摘しています。

例えば、家のリビングに10人ほどが集まる場合の換気のポイントは、次の2点だといいます。

橋本さん

人が多く集まって活発に話をする場合は、寒くても窓を開けて換気することが重要です。
ただ、それだけでは換気が足りないので、さらに換気扇を利用したり、扇風機を使ったりすること、または空気清浄機を使ってしっかりと換気する必要があります。

重要なのは「窓開け」「機械の活用」

必要と分かっていても、どの程度行ったらいいのか悩ましい「換気」。
人数や部屋の状況に応じて、柔軟に考えていくことが大事だといいます。

橋本安全衛生コンサルタントオフィス 橋本晴男所長
「換気の考え方としては人がいるところには、窓を開けるなどしてきれいな空気を通すということです。換気をする時にはさまざなま場面があるので、人数に応じて、開ける窓の数や幅を増やし、扇風機や空気清浄機などの機械による換気方法を増やすということが大事です」

  • 間瀬有麻奈

    千葉放送局 東葛支局 記者

    間瀬有麻奈

    2016年入局。去年感染した時にホテル療養で孤独を体験。夏の時期で、換気の窓の開け方に迷った1人です。

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