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日本脳炎 千葉県内7年ぶり発生 新型コロナ以外への感染も注意

  • 2022年11月04日

ことし9月、千葉県内に住む成人女性が、蚊が媒介する日本脳炎に感染していたことが確認されました。県内で日本脳炎への感染が確認されたのは7年ぶりです。
また、10月には、中学生のノロウイルス集団感染や保育園でのカンピロバクターによる集団食中毒が発生しました。
それぞれ、どのような病気なのか、何に注意すればよいのか、ラッカ星人と説明します。

(千葉放送局記者 金子ひとみ)

7年ぶりに日本脳炎発生

日本脳炎ウイルス
ラッカ星人

7年ぶりに千葉県内で日本脳炎への感染が確認されたんだよね?びっくりしたよ。

金子記者

そうなんです。千葉県によりますと、9月中旬、県内に住む成人の女性が自宅で倒れているところを同居人に発見され、病院に搬送されました。病院が詳しく調べたところ、この女性が日本脳炎に感染していたことがわかったということなんです。命に別状はなく、すでに治療を終えているということです。

ラッカ星人

そもそも日本脳炎ってどういう病気なの?

金子記者

「蚊」が関係した感染症なんです。

【日本脳炎とは】
▼増幅動物(豚)の体内でウイルスが増える⇨血液中に出てきたウイルスを蚊が吸う⇨その蚊が人を刺したときに、人が感染する。
▼人から人へ感染することはない。
▼感染して発病するのは100人から1000人に1人程度。
▼発病すると高熱や頭痛、おう吐などの症状が出るのに続いて、意識障害などを引き起こす。
▼発病した時の 死亡率は20~40%前後。
※出典:国立感染症研究所ホームページ
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/449ーjeーintro.html

厚生労働省のポスター
ラッカ星人

なるほど、人から人へうつることはないし、感染して発病する人は多くはないけれど、深刻な病気なんだね。感染状況はどんな感じなの?

金子記者

日本では1966年には2017人の感染者がいましたが、1992年以降は毎年10人以下で、そのほとんどが高齢者でした。ただ、ここ20年ほどは、10代などの若い患者も発生しています。
千葉県では、2015年8月に生後10か月の男の子の感染が確認されました。このときは県内で25年ぶりの千葉県内での感染確認でした。ことし、千葉県内で感染が確認された成人女性は、この男児以来の発生となります。

ラッカ星人

全国的にはどうなの?

金子記者

ことしは、熊本県が、9月に亡くなった70代の女性が日本脳炎に感染していたことがわかったと発表したほか、熊本県内では30代の男性と70代の男性も感染が確認されています。

ラッカ星人

リスクは高まっているのかな?

金子記者

千葉県は、ウイルスを増殖させる豚の抗体検査は毎年行っているものの、この女性のまわりで同じような事案は発生しておらず、「ことしは特段、千葉県としてリスクが高まっているという評価はしていない」ということです。

千葉県感染症情報センターの週報より
ラッカ星人

感染しないようにするにはどうしたらいいのかな?

金子記者

①蚊に刺されないように気をつけることと、②ワクチンを接種することが主な対策だといえるでしょう。

【千葉県が呼びかけている対策】
①蚊に刺されないよう気をつける
▼野外活動の際には、長袖・長ズボンを着用する、素足でサンダルを履かないなど、肌の露出を避けること。
▼虫さされ防止剤を使用する際には、むらなく塗布し、汗などで効果が落ちるため、こまめに塗布すること。

②ワクチンを接種する
▼ワクチン接種により、日本脳炎の罹患リスクを75~95%減らすことができると報告されているとしています。

【ワクチンの標準的なスケジュール】
▼3歳で2回
▼4歳で1回(=3回目、初回接種後おおむね1年後)
▼9歳で1回(=4回目)
を勧めています。
生後6か月を超えていれば、無料で接種できます。
※出典:千葉県ホームページ
https://www.pref.chiba.lg.jp/shippei/kansenshou/mos-borne/bouka.html

金子記者

私の子どもは5歳です。去年、本当は3回目の接種をすればよかったのですが、私(親)が忘れてしまい、ことし、3回目の接種をしました。インフルエンザの予防接種と同時に行ったので、効率的でした。

ラッカ星人

子どものころにワクチンを打っておけば、その効果はずっと持続されるの?

国立感染症研究所のホームページによると・・・
▼日本脳炎では、子どもの頃に受けた予防接種でできた免疫が大人になって弱くなってくることが分かってきている。
▼日本脳炎は大人でも免疫がなければかかってしまう病気なので、すべて任意接種(費用は個人負担)となるが、予防接種を受けて、免疫を強くしておくのも選択肢の1つ。
※出典:国立感染症研究所ホームページ
https://www.niid.go.jp/niid/ja/preventionーtop/qa/244-cqa004.html

金子記者

私は2014年から3年間ほど家族に同行してインドで暮らしたのですが、インドは日本よりも日本脳炎が流行しやすい地域ということで、渡航前に自費で接種しました。

金子記者の接種手帳

ノロウイルス

ラッカ星人

次にノロウイルス、これはよく冬に耳にする気がするよ。県内でも10月、集団感染があったね?

金子記者

千葉県によりますと、10月26日、銚子市のホテルに宿泊した学習旅行中の君津市の中学生など35人が、翌日以降、発熱やおう吐などの症状を訴え、ノロウイルスへの感染がわかったということです。夕食を調理した従業員の1人の感染も明らかになり、県の保健所は、このホテルの夕食が原因の食中毒と断定し、3日間の営業停止としました。入院するなど症状が重い人はいませんでした。

ラッカ星人

感染を防ぐにはどうしたらいいのかな?

厚生労働省のホームページを参考にまとめてみます。
▼ノロウイルスは手や食品、水などを介して、口から感染する
▼健康な人は軽症で回復するが、子どもやお年寄りなどの脱水症状やおう吐物をのどに詰まらせる窒息に注意が必要
▼ノロウイルスのワクチンはない。
調理を行う前、食事の前、トイレに行った後には必ず丁寧にせっけんで手を洗う
食品は十分に加熱する(特に、二枚貝)
▼患者のおう吐物やおむつの処理では、「次亜塩素酸ナトリウム」(家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用できる)を使って消毒する。
(参考)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

ラッカ星人の言うとおり、秋から冬に感染しやすいので、これからの時期は特に注意が必要です。

カンピロバクター

カンピロバクター(食品安全委員会HPより)
ラッカ星人

ノロウイルスの集団感染の発表があった翌日には、カンピロバクターの集団感染の発表があったんだね?

金子記者

さすがラッカ星人、詳しいね。
10月20日に八千代市の保育園で出された給食を食べた園児と職員あわせて28人が、下痢や腹痛などの症状を訴え、カンピロバクターという細菌が検出されました。県の保健所は、この保育園の給食が原因の食中毒と断定し、3日間の給食施設の使用停止としました。入院するなど症状が重い人はいませんでした。

ラッカ星人

カンピロバクターはウイルスではなくて、細菌なんだね。この菌の特徴や、予防するにはどうしたらいいの?

厚生労働省のホームページを参考にまとめてみます。
▼カンピロバクターは、ニワトリや牛など多くの動物が持っている菌で、十分に加熱されていないこれらの食品を食べるなどして感染する。特に十分に加熱されていない鶏肉料理(鶏レバーやささみなどの刺身、鶏肉のタタキ、鶏わさなどの半生製品)が原因となる例が多い。
▼多くの患者は1週間ほどで治癒し、死亡例や重篤例はまれだが、乳幼児・高齢者、その他抵抗力の弱い方では重症化する危険性もあり、注意が必要
▼食肉を十分に加熱調理(中心部を75℃以上で1分間以上加熱)することが重要。具体的には未加熱又は加熱不十分な鶏肉料理を避けることが最も効果的。
▼また、二次汚染防止のために、食肉は他の食品と調理器具や容器を分けて処理や保存を行ったり、食肉を取り扱った後は十分に手を洗ってから他の食品を取り扱ったりすることが重要
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126281.html

金子記者

カンピロバクターは1年を通して季節を問わず、発生しています。

食中毒にも注意を!

ラッカ星人

ノロウイルスもカンピロバクターも食中毒なんだね。ことしは食中毒の発生が多いの?

金子記者

千葉県によりますと、今年度(2022年度)は11月2日までに、県内で21件の食中毒が発生しています。このうち、ノロウイルスは1件、カンピロバクターは4件です。
昨年度(2021年度)の同じ時期は、県内で10件の食中毒(ノロウイルスは0件、カンピロバクターは3件)ということでしたから、去年に比べると少し多いですね。

県の担当者は、「昨年度や一昨年度は、千葉県だけでなく全国的にみても、食中毒の発生件数が少ない傾向です。新型コロナの感染防止強化が食中毒の発生抑制につながったと考えることができるのではないでしょうか」と話していました。

今は徐々に制限も緩和されていて、外食する機会が増えた人も多いと思います。新型コロナの感染症対策同様、食中毒の防止対策もしっかりと行うことが重要ですね。

  • 金子ひとみ

    千葉放送局記者

    金子ひとみ

    2014年、インドに行く前には、自費でたくさんのワクチンを打ちました。焼き鳥好きです。

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