富士山に近い山梨県の河口湖周辺。美しい景色などを求めて多くの観光客が国内外から訪れます。ただ最近、ある問題が起きています。
山梨県によりますと、河口湖は、例年、台風シーズン終わってから翌年の梅雨の前にかけて水位が下がる傾向にありますが、4月30日時点での水位は、基準水位より3メートルほど低く、およそ4年10か月ぶりの低さになっています。
この影響で湖では、岸から六角堂と呼ばれるお堂がある浮き島までのおよそ150メートルが
陸続きになっていて、歩いて渡れるようになっています。大型連休中に訪れた観光客は、石を積んで遊んだり、写真を撮ったりして楽しんでいました。
「ここがもともと湖の中だと思うと神秘的です。遠くから見たことは
ありましたが、歩いて間近に来ることはなかったです」
一方、水位が低下したことで湖畔では貸しボート用の桟橋の一部が使えず、停泊できるボートの数が少なくなるといった影響が出ています
専門家は、水位の低下について、去年の河口湖周辺の出水期の雨量が例年より少なかったことが影響しているという見方を示しました。
山梨県富士山科学研究所 山本真也 主任研究員
「河口湖の水位は、雨の多い初夏から秋にかけて上がり、冬に下がるという変動を示す。
去年の梅雨から秋の台風シーズンにかけて雨が少なかったため、その前の冬に低下した水位が十分に回復しないまま、さらに水位が下がってしまったのではないか」
こちらは同じ富士河口湖町の中心部です。町道沿いにあるコンビニエンストアの近くには、コンビニの建物の上に富士山が乗ったような写真が撮影できることから、多くの外国人観光客らが訪れています。
町によりますと、この場所で撮影された写真がSNSで話題になり混み合うようになったということで、訪れた観光客が撮影のために車が多く走っている道路を横断したり、私有地に無断で入ったりするなどの行為が相次ぎ、地元の住民から苦情が寄せられていました。
町は去年から(2023年)外国語で注意を呼びかける看板の設置や警備員を配置するなどの対策を行ってきましたが、状況が改善されなかったため、歩道に沿って長さ20メートル、高さ2.5メートルの、富士山を見えなくする黒い幕を設置するとともに、道路の横断を防ぐ柵を並べることになりました。町によりますと、幕を設置する工事は5月中旬ごろに終わる見込みだということです。
今回の「黒幕設置」について、SNS上ではさまざまな意見が投稿されています。
「河口湖周辺オーバーツーリズム。ルールを守らないとね。ゴミは捨てない。危険な横断は、ダメだよね」
「結局歩道に着けても、車道に出て撮影するんじゃない?むしろ、屋根の上に景観を崩す(見えにくくする)のを取付た方がよいのでは」
周辺が迷惑しているとは言え、コンビニのせいではないからなぁ....
「富士山のパワーが黒幕で隠されちゃうね」
富士河口湖町
「危険行為や迷惑行為が相次いだため、苦渋の決断で工事を行うことにした。観光客の分散につながればと期待している」