八木山動物公園の門の前にある"胸像"、一体どんな人?

今回のみやぎUP-DATEでは、こちらの投稿にお応えします!

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八木山動物公園の門の前に建っている胸像。
存在自体は知っていても、詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか。

その胸像の人物、そして八木山にもう一体ある「あの選手」の像についても調べてきました!


動物公園に行ってみよう!

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動物公園へ行ってみると…
東門の前にありました!

とても立派な像ですが、どんな関係がある人なのでしょう?
さっそく、八木山動物公園管理課・星 勝彦さんにお話を伺いました。

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星さん
「動物公園に、というより、八木山全体に関わってくる方なんです。
像に刻まれておりますけれど、八木山の“開拓の祖”と呼ばれている方でございます。」


「八木山開拓の祖」と呼ばれるその人物は、五代・八木 久兵衛さんだそうです。
慶応元年に生まれ、鉄道事業などで財を成した四代・八木 久兵衛さんの意志を継ぎ、八木山の開発に尽力しました。
胸像は、その功績を称えて昭和45年に建てられたものだといいます。


親族の方にもお話を伺ってみた!

久兵衛さんのひ孫の代にあたる方がいらっしゃるということで、動物公園の向かいにある遊園地へ。

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園長の八木 充幸さんです。

八木さん
「私は婿ですので直接血はつながってないんですが、3世代前ですのでもう歴史的な人物のような感じがしますね。」

このまま久兵衛さんについてお話を伺ったのですが、あまりにもすごかったため…
クイズにしてみました!

問題!

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昭和初期、久兵衛さんが私財を投じて八木山に造ったものはどれでしょう?
① 八木山への道路
② 野球場や遊園地
③ 吊り橋




正解は…





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全部です!

すべて私財を投じて造り、その後行政に寄付したそうなんです…!


地図で見るとよりすごい!

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こちらは現在の八木山地区の地図です。
緑色で囲んであるのが動物公園。

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動物公園の敷地内を含む、オレンジ色で囲んだあたりに、八木山野球場や遊園地などを建設したんだそうです。
それにしても広いですね…


像はもう一体ある!

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アメリカ大リーグで数々の大記録を残し、二刀流として活躍したベーブ・ルースの像です。
昭和9年に日米野球の代表として来日し、ここにあった野球場で初ホームランを打ったことを記念して建てられました。

約1万人も収容できたという八木山野球場。
代表戦が行われるような立派な野球場だったんですね。


さらに!

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青葉城址を訪れた仙台市民が、八木山まで足を延ばせるよう吊り橋も造りました。
今の八木山橋の前身となるこの吊り橋は、昭和6年に完成し、竜ノ口渓谷を見る人々で賑わったそうです。


像だけじゃなかった!

久兵衛さんの功績を称えようと建てられた胸像ですが、八木山にはこのほかにも久兵衛さんをしのぶ石碑などが残されています。
その中の一つ、私有地の中にある場所を特別に見せていただきました!

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茂みの中を進んでいくと…

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歌碑がありました。
久兵衛さんの一周忌に、八木山開拓の始まりの場所だったという場所に建てられたそうです。

刻まれている歌は、
「寂しさも つかれもいつか 忘れけり 夏の山路に うぐいすの声」

八木山への愛が感じられ、久兵衛さんの人柄がしのばれる素敵な歌ですね。


安藤のひとこと。

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安藤さん
「実は八木山に住んでいたこともあったんですけれど、私財を投じて街を造った方がいたということを知らなかったんです。
そしてその歴史を調査して知る、ということで普段何気なく見ていた景色もまた変わって見えてくるように思いました。
やはり“街を知る”ということが生活の豊かさにつながっていくのではないかと思いました。」



編集後記

幼いころに何度も遊びに連れて行ってもらった、八木山の動物園や遊園地。
当時は遊ぶことに夢中で、胸像をしっかり見るということはありませんでした。
こうして調べてみて、久兵衛さんの人柄や地元愛、地域の人たちへの思いを感じることができ、その思い出の一つ一つがより尊いものになりました。
皆さんの思い出の場所も、誰がどんな思いで造ったのかを知ると、より愛しく感じられるのではないでしょうか。

※記事・動画内の野球場等の位置は、見取り図を元におおよその位置を示しました。


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