みやぎイチオシ!名取の「えっぐおじさん」

221027_eg_01.png

名取市に「えっぐおじさん」と呼ばれる男性がいるのをご存じでしょうか?
その人は菊地克三さん(71)。
地域での長年の活動が評価され「名取市民賞」も受賞しています。

221027_eg_02.png

その活動とは、卵の殻に絵を描く「エッグクラフト」。
にわとりの卵以外にも、ダチョウの卵やうずらの卵も使い、自由な発想で作られた作品は、多くの人を引き付けています。

221027_eg_03.png

エッグクラフトを始めてから50年以上。作った作品は1万点を超えています。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をイメージして、列車を卵で表現した大作もあります。

221027_eg_04.png

長年にわたり作品づくりを続けられる理由について尋ねると…
「卵の温かみのある丸みがすごく好き。それがたまらなく愛おしい」
そう話したときの笑顔はとても印象的でした。

221027_eg_05.png

会社を退職した13年前からは、エッグクラフトの魅力を多くの人に伝えようと、教室や出前授業などに本格的に取り組み始めました。
参加者はのべ2万人を超えます。
どんなものなのか、私も挑戦してみました。
まず気になったのは、卵の中身をどのように取り出しているのか…。

221027_eg_06.png

221027_eg_07.png

221027_eg_08.png

まずは1円玉くらいの大きさに切り抜き、その後はストローでゆっくり息を吹き込みます。すると、黄身を壊すことなく中身がきれいに出てきました。(好きな目玉焼きを作れるように菊地さんが独自に編み出した方法だそうです)。

221027_eg_09.png

221027_eg_010.png

このあと、アクリル絵の具を使って、好きな絵柄を描いていきます。
とても細かい作業で手が震えましたが、なんとか完成!
その名も「やっぺえっぐ!!」。

221027_eg_011.png

教室では、同じ卵で同じような絵柄のものを作っても、人によってさまざまな表情に。
丸い卵から生まれる造形美に何ともほっこりしました。

221027_eg_012.png

221027_eg_013.png

菊地さんがエッグクラフトを始めたのは中学生の頃です。
幼いころの菊地さんは、小学校の運動会では、徒競走で6年間ずっとビリ。音楽の時間は歌も苦手だったといいます。劣等感にさいなまれ、学校にいけない日もありました。そうしたなか、中学2年生の休み中の宿題として作ったのが、卵の殻で作ったこけしでした。これが多くの人に絶賛され、賞をもらいました。
菊地さんは初めて「自分にもこんなに褒められることがあったのだ」と気づいたといいます。得意なことを見つけた菊地さんは、エッグクラフトに熱中していきました。

221027_eg_014.png

これまで菊地さんが開いてきた出前授業は全国600か所以上。授業ではエッグクラフトの作り方だけでなく、自身の経験も伝えています。
それは…。

① 大好きなことを見つけて1つのことを続けていけばすばらしいことが待っている。
② 身の回りにある物を大切にして創意工夫することの大切さ。
③ 卵の殻は壊れやすいけれど、同じように人の心も壊さないように思いやることを忘れない。

菊地さんのことばは多くの人の心に刻まれ、お礼のメッセージも多く寄せられています。

221027_eg_015.jpg

“好きこそものの上手なれ”菊地さんは、まさにそれを体現していると感じました。
最後は、えっぐおじさんの授業でのことばで締めくくりたいと思います。

「1つのこと、大好きなことを見つけたら、それをずっと続けてみてごらん。必ずすてきなことが待っているから」。

【取材:佐々木成美キャスター】

※「○○地域に注目!」仙台地域のページはこちら