イチオシ!"栗原の細工かまぼこ"
魚のすり身にさまざまな色を付けたり、鯛などの縁起物にかたどったりした「細工かまぼこ」。
宮城県内では主に婚礼の品として使われてきました。しかし、近年、需要は減少。お祝いの場で使われる機会も減りました。そんななかで、今も人々の身近な存在となっているのが海から離れた内陸の栗原市です。
訪れた栗原市内のスーパーでは、たくさんの細工かまぼこが並んでいました。
そして、地元の人たちが次々と手に取っては購入していました。
「彩りがよくなるので買う!」「マヨネーズをつけて食べる!」などなど・・・。
豪華な見た目とは裏腹に、栗原では日常的に食べられているようです。
その細工かまぼこを作っているのは、市内唯一のかまぼこ店です。
主力の商品が細工かまぼこという県内でも珍しい店で、大正時代から作っていたといいます。
店の4代目、滝川勝博さんによると、県内で細工かまぼこを作られるようになったきっかけは、伊達政宗にあったとされているということです。豪華で派手好きだった政宗の影響で伊達藩を中心に広まったといういわれがあるそうです。
婚礼の定番と言えば大きな鯛の形をしたかまぼこで、昔はこれを近所に分け合い、「幸せのおすそ分け」が行われていました。しかし時代とともに需要は減っていきました。
そんななか、滝川さんが目を付けたのが、「かまぼこのサイズ」でした。
気軽に食卓に並べてもらおうと、小さいサイズのものを増やしました。
地元、伊豆沼にやってくる白鳥の形など、栗原独自のモチーフも取り入れられました。
誕生日ケーキならぬ「誕生日かまぼこ」も製造。
栗原市民に欠かせないものとなっていったといいます。
細工かまぼこ造りを支えてきたのは従業員の熟練の技です。
全部で100種類もあるデザインを、色を付けたすり身を使い分けて手早く仕上げていきます。
鮮度が命で、スピードが求められる細工かまぼこ造り。私も特別に体験をさせてもらいました。おかし作りをしている感覚と似ていて、どんどん色鮮やかに仕上がっていく様子にわくわくしましたが、皆さんと比べるとだいぶ時間がかかってしましました。さすがです!
県内出身の私の両親も、結婚式の引き出物は細工かまぼこだったそうで、知人の結婚式でもよく目にしていたといいます。今は昔ほど見かける機会も減り、若者を中心に知らない人も多いかもしれません。
お祝いの場から日常の食卓へ。舞台は変わっても人々に笑顔を届ける役割は栗原市でしっかりと受け継がれていました。
【取材:佐々木成美キャスター】
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