坂道グループが見た震災12年

東日本大震災からまもなく12年。

NHKでは、震災と原発事故の記憶と教訓を次の世代に伝えるため、若者に人気のアイドル、坂道グループのメンバーと一緒に語り部の話を聞くことができるVR=バーチャルリアリティの映像コンテンツ、「坂道グループ×震災語り部」を去年から制作しています。

今回、その撮影のため、9人のメンバーが東北の被災地を訪れ、震災遺構などを巡りました。

12年前、小学生だったメンバーは何を感じたのでしょうか。
彼女たちと一緒に、語り部の話に耳を傾けてみませんか?



◎この記事の後半で、9人のメンバーが今回感じたことを動画でご覧いただけます。

◎訪問の様子はNHKのVRサイトでもご覧いただけます。
https://www.nhk.or.jp/vr/

◎NHK仙台放送局でも映像を展示していて、VRゴーグルなどで視聴することができます。
企画展「3.11 伝え続ける~未来のために~」2023年3月4日(土)~19日(日)
https://pid.nhk.or.jp/event/PPG0356296/index.html



【被災地を訪れた坂道グループのメンバー】

被災地を訪れたのは、

日向坂46の高瀬愛奈さん、河田陽菜さん、富田鈴花さん。


櫻坂46の小林由依さん、井上梨名さん、大沼晶保さん。


そして、乃木坂46の岩本蓮加さん、阪口珠美さん、林瑠奈さん。


坂道グループの9人のメンバーは、東日本大震災の爪痕を残した建物などを訪れました。

震災の発生当時は、皆、小学生で、関東や関西などで暮らしていました。
震災遺構などを直接見るのは初めてです。

<櫻坂46・井上梨名さん>
「当時、小学生だったので、なかなか自分にとって近いものとは感じられませんでした」

<乃木坂46・林瑠奈さん>
「画面の中でしか見たことがなかったので・・・」

<日向坂46・高瀬愛奈さん>
「本当にこういうことが現実にあったんだなって」





【岩手県陸前高田市】

岩手県陸前高田市にある、気仙中学校。
10メートルを超える津波に襲われ、震災遺構として保存されています。

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訪れたのは櫻坂46の3人。

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(写真左から:井上梨名さん、小林由依さん、大沼晶保さん)

高田松原津波復興祈念公園パークガイドの小林大樹さんに案内してもらいました。

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小林さん
「目の前にある部屋は、3年生が使っていた教室です。壁やドア、窓まで、すべて壊されてしまっています」

櫻坂46・大沼晶保さん
「こんなにひどく壊されていて、津波のすさまじさを感じます」

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学校にいた生徒たちは、日頃からの避難訓練などで学んだことを生かし、全員が高台に逃げて無事でした。

小林さん
「日頃の備えが何よりも大切、ということを伝えています。万が一、逃げなければならないときにどうすべきか、ぜひ皆さんで話し合っていただきたいと思います」

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【宮城県南三陸町】

宮城県南三陸町で、当時のまま残されている高野会館。
結婚式場だった建物の4階近くの高さまで津波が襲いました。

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訪れたのは乃木坂46の3人です。

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(写真左から:林瑠奈さん、岩本蓮加さん、阪口珠美さん)

地元のホテルで語り部をしている小野寺浩さんの案内で、建物を見て回りました。

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小野寺さん
「当時はこの場所で高齢者による芸能発表会が行われていて、300名を超えるお客様がいらっしゃいました。地震の直後は、おうちや家族を心配して外に出ようとする人もいましたが、スタッフが階段の前に立って、手を広げて、“生きたければここに残れ”と。そのあと、屋上へと地域の人たちを誘導しました」

乃木坂46・岩本蓮加さん
「すごい判断ですね」

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小野寺さんは、復興で町並みが大きく変わる中、震災遺構で語り続ける思いを伝えました。

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小野寺さん
「津波の被害を直接感じられるものは少なくなってしまいました」

乃木坂46・阪口珠美さん
「町がきれいなので、震災であんなに大変なことがあったとは想像できないです」

小野寺さん
「そうですね。だからこそ震災遺構に来て、見ていただいて、津波の恐ろしさを感じ、当時何があったのか、事実を知るきっかけになると思うんです。きょう、皆さんが感じたこと、聞いたこと、見たことをぜひ周りの方に話していただき、震災の記憶をつないでいってほしいと思います」

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【福島県双葉町】

原発事故の影響で、去年8月まで、すべての住民の避難が続いていた福島県双葉町。

町に残されている福祉施設、ヘルスケアーふたばを日向坂46の3人が訪れました。

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(写真左から:富田鈴花さん、高瀬愛奈さん、河田陽菜さん)

案内したのは、ここで働いていた、
双葉町社会福祉協議会の元職員、北村雅さんです。

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北村さんがまず案内したのは、デイサービスで使われていた部屋です。

北村さん
「机を見てください」

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日向坂46・河田陽菜さん
「ペットボトルとかコップとか、そのまま残っていて、当時使われていたものですか?」

北村さん
「そうですね」

日向坂46・富田鈴花さん
「あのカレンダーも2011年3月のままっていうことですよね」

北村さん
「そうですね。あの当時のカレンダーですね」

地震の翌日、原発事故により、利用者や職員たちは急いで町の外への避難を余儀なくされました。
その後、長い間、町に戻ることができなかったため、部屋は当時のままの姿で残されていました。

北村さんは、多くの人が利用していたプールも案内しました。
長い月日の間に、プールの水は消えてなくなりました。
町の一部で避難指示は解除されましたが、ここに人の姿は戻っていません。

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日向坂46・河田陽菜さん
「私は震災当時は小学生だったんですけど、こうして大人になるまでの間、双葉町の皆さんはふるさとに戻ってこられなかったんだなって思うと、本当に想像ができないくらい長い時間だったんだろうなって感じました」

北村さん
「そうですね。私たちは原発事故によって、大切な時間と暮らしを奪われてしまいました。2度と起こさないように、みなさんと一緒に考えたいですし、あの日のことを忘れないでいただければいいのかなと思っています」

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【語り部から話を聞いて、メンバーが感じたこと】

震災や原発事故の記憶をとどめた場所を訪れ、語り部の話を聞いた9人のメンバー。
それぞれが感じたことを話してもらいました。


宮城県南三陸町を訪れた乃木坂46のメンバー

<乃木坂46・岩本蓮加さん>

「いろんな人たちが、ここで苦しんできた思いも理解して、これからこういう大きな地震が起きた時に、ちゃんと忘れずに思い出して、しっかり向き合いたいと思いました」


<乃木坂46・阪口珠美さん>

「震災遺構を見られて、すごくありがたいし、いい経験になって、でもそれをそこで終わらせるのではなくて、私たちが若い世代にも、こういうのを見てきたんだよって伝えていかなきゃなって、改めて深く思いました」


<乃木坂46・林瑠奈さん>

「自然災害としっかり向き合う機会が少ないと思っていたんですけど、実際に(震災遺構を)見て、もっと深く考えないといけないと思ったし、常に危機感を持って日々、行動したいなと感じました」



岩手県陸前高田市を訪れた櫻坂46のメンバー

<櫻坂46・小林由依さん>

「いま一度、災害についてしっかり考えて、どういう災害が起こったら、まず始めにどうしなければならないか、ちゃんと理解しておかないといけないなと思いました」


<櫻坂46・井上梨名さん>

「未来の命を守っていくために、どれだけ怖かったものなのか、どれだけ被害が出たのかとか、この先どうしたらみんなの命が助かるのかを、話し合うだけで絶対変わってくると思うので、(震災を)体験したことはないですけど、きょういろんなことを教えていただいたので、伝えていけたらなと思います」


<櫻坂46・大沼晶保さん>

「災害が起きたらこう動くというのを考えておいたら、命を守ることができるという希望を持てたので、絶対に忘れずに生かしたいなと思いました」



福島県双葉町を訪れた日向坂46のメンバー

<日向坂46・高瀬愛奈さん>

「もちろん、もうこのことを忘れてしまいたいと思っていらっしゃる方もいると思うんですけど、ここで聞いたお話や、見たことを、私は忘れずに、周りの若い世代の子たちにも伝えていけたらいいなと思いました」


<日向坂46・河田陽菜さん>

「12年の中でいろいろな思いをした方がいらっしゃるんだなと思うと・・・。実際にテレビとかでは見ていたけど、実際に町に来て、改めて実感したというか、こういうことがあったんだなって、すごく身にしみて思いました」


<日向坂46・富田鈴花さん>

「これからの世代に、この地震を知らない世代に、どんどんつないでいくバトンを私たちは持っていると思うので、その機会を大切に伝えていきたいと思いました」


◎訪問の様子はNHKのVRサイトでもご覧いただけます。
https://www.nhk.or.jp/vr/

◎NHK仙台放送局でも映像を展示していて、VRゴーグルなどで視聴することができます。
企画展「3.11 伝え続ける~未来のために~」2023年3月4日(土)~19日(日)
https://pid.nhk.or.jp/event/PPG0356296/index.html