浮かび上がる被災リスク ~東北の高齢者施設3800の調査~

災害が起きた時の避難に時間がかかるとされる、入所型の高齢者施設の災害リスクをNHKがハザードマップを元に調べたところ、東北にある3800あまりの施設の4分の1にあたる、少なくとも945施設に津波、洪水、土砂災害のいずれかのリスクがあることがわかりました。


車いすや寝たきりの入所者がいる特別養護老人ホームなどの高齢者施設では、災害が起きた時の避難に時間がかかるとされ、厚生労働省によりますと東日本大震災では岩手、宮城、福島の3県の52施設が被災し、入所者や職員など658人が犠牲になりました。
またここ数年、全国で多発している豪雨災害でも高齢者施設が被災し、複数の入所者などが犠牲になる例が相次いでいます。

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東北の4分の1 945施設に災害リスク

NHKは今回、東北にある高齢者施設、合わせて3837施設の住所や設立時期を調べ、各自治体が公表しているハザードマップなどと重ね合わせて、津波、洪水、土砂災害の3つの災害リスクについて分析しました。
その結果、3837施設の4分の1にあたる、少なくとも945施設が、いずれかの災害リスクがあるとされる区域に立地していることがわかりました。

災害別で見ると
洪水の浸水想定区域にあるのが最も多くて612施設。(国管理の1級河川のみを対象に分析)

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津波の浸水想定区域にあるのが212施設。(岩手県と宮城県は津波の浸水想定を作成中で発表されていないため分析対象外)

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 東北4県の調査結果は↓こちら

青森県

 

秋田県 

 

山形県

 

福島県

土砂災害の警戒区域にあるのが156施設でした。
また津波と洪水など、複数の災害リスクがあるところも35施設ありました。


震災“後”に増えていた「災害リスクより高齢者引き受けるニーズ優先」
平成22年のデータと比較すると、高齢化の進行などにともない施設自体が東北全体で
3837施設 (1.6倍増)
災害リスクがある区域の施設
945施設 (1.6倍増)
となっていることも分かりました。


高齢者施設の防災に詳しい跡見学園女子大学の鍵屋一教授は
「国内では最近20年で75歳以上の高齢者が2倍以上に増えていて、災害リスクよりも高齢者を引き受けるニーズを優先させた結果だ。非常に切実な問題で、施設と行政、そして地域が協力して避難対策を考えていかなければならない」
と話しています。

高齢者施設の災害リスクについて下記HPから情報をお寄せください!

https://forms.nhk.or.jp/q/HYW6AYDE