【新人アナ日記#8】西尾文花・ふるさとへの思い、聞きました!

こんにちは!西尾文花です。

みなさんは、ふるさとにどんな思いがありますか?
私のふるさと・岐阜県は、海こそありませんが、山や川に囲まれた自然豊かな場所です。
今は地元を離れていますが、帰省するたびに風景や匂いで幼少期を思い出します。
自分の一部であって切り離すことができない存在、それがふるさとだと思います。
今回は、そのふるさとに強い思いを持っている方を取材しました。

8月1日、平日午後5時台にラジオ第一で放送している「Nandary」に出演して、はじめて生放送でインタビューを行いました!

お話をうかがったのは、宮城県丸森町(まるもりまち)でそば店を開いた阿部孝司(あべ・たかし)さん(64)です。

丸森町出身の阿部さんは、勤めていた会社を早期退職してUターンし、“地域おこし協力隊”として活動しながらそば店を始めました。
きっかけは、観光客にも人気だった町内のそば店が、震災後に閉店してしまったこと。福島県と接する丸森町は原発事故の風評被害に見舞われ、そば店も一気に客足が遠のいて、店主は商売の継続を断念しました。阿部さんは、風評被害や過疎化に苦しむ地域を少しでも明るくしたいと、再びそば店を開くことを決心しました。

しかし、開店を決意した矢先の2019年10月に台風19号が発生。丸森町は、川の氾濫や道路の寸断、橋の損壊や家屋の浸水など甚大な被害を受けました。阿部さんも計画を大幅に修正せざるを得ませんでしたが、地道に準備を進め、とうとう今年7月に念願のお店を開くことができました。

放送当日、阿部さんとパーソナリティの千葉アナウンサー、そして私の3人がスタジオに。編集のきかない生放送、とても緊張しました!

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(左から千葉アナウンサー・西尾・阿部さん)

そもそも私が阿部さんを知ったのは、新聞記事がきっかけでした。
記事には、阿部さんが東京消防庁の消防士だったと書いてあり、どうして全く異なる飲食業にチャレンジしたのだろうかと興味が湧きました。

阿部さんに取材をお願いすると快諾してくださり、早速、初めての丸森町へ。
仙台駅を出発し、途中、阿武隈急行に乗り換えて1時間ほどで到着しました。車窓から見えたのは、水田の広がる風景です。その様子が自分のふるさとと重なり、とても懐かしく感じました。

たどり着いた阿部さんのそば店は、里山の中にポツンとありました。
木々に囲まれて、店の脇には川が流れています。
鳥や虫の声に加えて、店内ではジャズの音色も!心が洗われるようなひと時でした。

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 何はともあれ、まずは肝心のおそばを注文。
とてもおいしかったです!

そして、取材へ。
消防庁時代のことやふるさとのこと、現在の店の様子まで、時間の許す限りお話をうかがいました。
店内では従業員の方も働いていたのですが、阿部さんがそば店を始めると聞き、「それなら手伝うよ」と自ら名乗り出た方も多かったそうです。
「いい場所でしょう」「もっとお客さんが来てくれるといいな」と、にこやかに話してくださり、丸森の方々のあたたかさを感じました。

取材のあとは、放送当日に向けて構成を考えます。
悩んだのは、本番でどの話をするのか。
取材後、この話も届けたい、この話も伝えたいと話したいことがたくさん出てきました。しかし、限られた時間の中で情報を詰め込んでしまうと、結局、何を伝えたいのか分からなくなってしまいます。

「西尾は何が一番心に残ったの?」そう先輩に尋ねられ、浮かんだのが「限界集落を通り越して、ふるさとがなくなってしまうんじゃないか」という阿部さんの言葉でした。

私のふるさとも人口減少が進んでいます。最近も、中学校が統合するというニュースを目にして、少しずつ町の様子が変わっていく寂しさを感じました。

しかし、ふるさとが「なくなってしまう」とは考えたことがありませんでした。
阿部さんは、ふるさとを失わないために自分ができることを考え、そば店のオープンに行きついたのです。そこまでの思いと阿部さんの挑戦する姿を伝えたいと思いました。

当日は、20分間のインタビューの中で「そばとの出会い」や「お店を開くまでの苦難」、そして「ふるさとへの思い」を話していただきました。

質問は千葉アナが行い、私は補足で説明をしながら、気になる部分を聞きました。
本番中は、どのタイミングで会話に入っていくか悩んでしまい、ところどころ声が重なってしまう部分がありました。
それでも、明るく丁寧に話してくださった阿部さん。

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一番伝えたかった「ふるさとへの思い」も詳しく聞くことができました。

西尾:「取材をしていた時に、阿部さんが、『限界集落を通り越して、地元がなくなっちゃうんじゃないか』…そうおっしゃっていたんですよね。その言葉がすごく私はじーんときて、そうか、なくなってしまうかもしれないと感じたからこそ、この場所で、この場所に戻って、作りたかったんだっていう風に、すごく感じました」
阿部さん:「昨年で小学校も廃校になりまして、幼稚園も今年度でもう終わりっていうことで、もう子どもがいないんです。限界集落に近づいているのかな、という思いがありますね」
西尾:「でもやっぱり、自分が育った場所って、なくなってほしくないですよね」
阿部さん:「そうですよね、やっぱり、ふるさとに戻った時に立ち寄れる場所っていうのが、僕のお店になればいいなと思っていますね」

今回、初めて自分で一から取材し、どんな放送にするかを考えました。
どんな流れなら、どんな言葉なら、聞いている人の心に届くのか…とことん考え抜く過程は難しかったのですが、とても楽しかったです!

「あの時、この情報を入れられたら分かりやすかったな…」と、自分なりの反省点は残りますが、一番伝えたかったこと=阿部さんのふるさとへの思いは伝えることができたと感じています。

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放送後、3人で記念撮影!

阿部さん、千葉さん、ありがとうございました!

今後も宮城県や東北で頑張る方を取材しに行きます!