ヨーロッパ イタリア

地中海のやさしい交差点パレルモ/イタリア・シチリア島

初回放送
2019年4月16日
撮影時期
2019年1月
語り  
羽田美智子

地中海の真ん中、シチリア島。最大の街パレルモは古くからさまざまな民族や国に支配されてきました。異文化が混在する独特の雰囲気を楽しみ、食べることが大好きで家族を大切にする心優しい人々に出会います。

歩き方

街の基礎情報 パレルモ

場所:

シチリア島北西部

人口:

約70万人(2017年時点)

景色:

さまざまな建築様式が一体化している珍しい建築物がたくさんある

人々:

明るくて気さく、寛容、やさしい

産業:

造船業、農業

交通手段:

鉄道、バス

行き方:

日本からの直行便はありません。ローマなどを経由してパレルモに向かうのが一般的です

通貨:

ユーロ
1ユーロ=約130円 (2019年現在)

歩き方

「地中海の交差点」と呼ばれるパレルモは異文化も受け入れる寛容な人々が暮らす街。ローマ通りから歩き始めて見えてくるのはイタリア最大のオペラの殿堂、マッシモ劇場。街の中心部へ進むと、18世紀に造られた建物の前で伝統音楽を演奏するバンドや「恥ずかしい広場」と呼ばれる裸の像だらけの空間、市場でゆでダコを売る三代目親子、アラブ風の装飾がある大聖堂などを訪ねます。午後は教会だった建物で「地中海音楽」を演奏する人々や代々人形劇を続けている家族との出会いが。夜は仕立屋の演奏会にお邪魔します。

街を歩いてみて(ディレクター談)

パレルモの人々は食べることが大好き。それだけに安くておいしい食べ歩きのグルメが充実しています。スフィンチョーネやパネッレはもちろん、ミルツァという牛モツのサンドも大人気です。パレルモをご旅行の際は是非ともお試しください。

写真ギャラリー

街のなりたち

地中海の中央にあるシチリア島。その最大の港街であるパレルモは古くからさまざまな民族や国が奪い合ってきました。7世紀は東ローマ帝国。9世紀からは200年間に渡って北アフリカから来たイスラム教徒が支配します。11世紀からはフランス北西部からやってきたノルマン人。ノルマン人は他の民族を追放せず、優れた技術を持つアラブの職人たちを雇い、王宮など多くの建物を造り、現在まで続くパレルモの街並みの礎を築きました。その後はスペインが長く支配し、19世紀なかばにイタリアの一部となります。

出会い

街の「教会でバンドの練習」

太鼓の音につられて出会ったのは、「地中海音楽」を演奏するバンド。太鼓で奏でるアフリカの独特なリズムとギターの組み合わせが新鮮です。女性の透き通った歌声は、太鼓の音に負けない力強さ。違ったルーツを持つ音楽が融合したパレルモらしい音色でした。

街の「ゆでダコ屋の親子」

にぎやかなバッラロ市場でひときわ威勢のいい声を放つ男性とその息子さん。釜から次々取り出すのは丸ごとゆであげたタコ。おじいさんが始めた店をこれからも家族で引き継いでいこうと、立派な心意気を語る二代目・三代目のまなざしがとてもすてきでした。

街の「仕立て屋、夜の演奏会」

楽しげな音色に誘われてお邪魔したのは仕立て屋さんの演奏会。週に一度開かれ誰でも参加できるそう。この日はロシアやキューバからお客さんが。相手を無理して受け入れるのではなく、違いを楽しむことが大切と。パレルモの人たちの懐の深さを感じました。

グルメ

【第1位】フラゴリーネのケーキ

スポンジケーキに生クリームとカスタードクリームをたっぷりと塗り、シチリア特産の小さな苺「フラゴリーネ」をはさんで何層か重ねたら生クリームで表面を覆い、フラゴリーネを隙間なくトッピングしたら完成。見た目も味も最高の一品です。
<平均価格 4ユーロ(約500円)>

【第2位】カッサータ

シチリア特産のリコッタチーズに砂糖やチョコレートを加え、それをピスタチオのペーストやスポンジなどで包み、上から溶かした砂糖でコーティングした伝統のお菓子です。脳天を貫くほどの甘さがたまりません。
<平均価格 3ユーロ(約380円)>

【第3位】アーモンドのセミフレッド

キャラメリゼしたアーモンドを細かく砕き、ホイップした生クリーム、メレンゲ、卵黄と混ぜたものを凍らせた、ふわっとした食感のセミフレッド(半冷凍)のアイスリーム。温かいチョコレートソースをかけて、いただきます。
<平均価格 4ユーロ(約500円)>

ちょっとより道

「チョコレートの街 モディカ」

18世紀に中米アステカから伝わった製法で作られるチョコを食べにシチリア島南東部の街モディカを訪ねます。タクシーの運転手さんによると「ダイヤモンドみたいな粒」が入っているとのこと。期待と疑問をふくらませお客さんでにぎわうお店へ。工房に案内してもらって聞くと、カカオ本来の味を守るため工程の中でチョコの温度が45度を超えないようにしているとのこと。そのためある材料の粒が溶けずに残りザラザラした独特の食感が生まれるそうです。「ダイヤモンドみたいな粒」の正体、分かりましたか?

語り:田中卓志(アンガールズ)