「気になるカラダの“におい”」② ~中高年特有のにおい~

23/11/21まで

健康ライフ

放送日:2023/07/04

#医療・健康#カラダのハナシ

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【出演者】
関根:関根嘉香さん(東海大学 理学部 化学科 教授)
聞き手:星川幸 キャスター

加齢臭と中年男性臭、どんなにおい?

――中高年特有のにおいというと、どんなにおいなんでしょうか。

関根:
きょうはにおいのサンプルを持ってきましたので、まずは嗅いでみてください。

――はい。小さなビンの中に、においがこれ、入っているんですね。ちょっとふたを開けて嗅いでみたいと思います……む! うん、何の臭いって言えばいいですかね……。その、古い倉庫とか、蔵の中のような感じというか……。

関根:
今、嗅いでいただいたのは「加齢臭」と呼ばれるものです。よく、古本とか枯れ草に似たにおいと例えられますけれども、ほかにもカメムシっぽいと感じる方もいるようです。
このにおいは、主に頭部、それから耳の回り、背中や胸、おなかの中心部など、皮脂が分泌されやすい部位から出やすい皮膚ガスなんです。

――この加齢臭の主な成分は何なんでしょうか。

関根:
皮脂が酸化してできる「2(に)-ノネナール」と呼ばれる物質です。この成分が増えることによって、この加齢に伴うにおいが発生してくるんですね。このノネナール、ビールやキュウリ、あるいはスイカなどにも含まれているんですけれども、単に脂っぽいにおいというわけではなくって、何となく青臭さが入り交じっているのが特徴です。
ノネナールなんですけども、20代の方は出ません。ですが、男性ですと35歳以降、女性ですと40歳以降でしょうかね、徐々に増えて、50代になりますと顕著になってまいります。

――においの出方に男女差はあるんでしょうか。

関根:
実は、男性だけでなくて、女性からも出てきてしまうんですね。

――はあー。その、加齢臭のもととなる成分、どうして50代以降になると増えてくるんですか。

関根:
皮脂の分泌というのは、年齢とともにどんどんどんどん減ってまいります。ですが、皮脂の中の成分が変化してしまうんですね。いわゆる加齢臭のもとになるような皮脂の成分が増えてしまいます。
もう1つは、この皮脂を酸化させるために、「活性酸素」という、ちょっと酸化力の強い酸素の物質があるんですけれども、年齢とともに増えてしまうんですね。ですから、加齢臭の原料が増える、その原料を酸化させるものが増えてしまう、こういったことが増えてきてしまうということなんです。
これは自然の摂理ですからね、「出ていることが普通な状態」だというふうに思った方がいいかもしれません。
さあ、もう1つですね、中年になって出てくる特有のにおいがあるんですけども、こちらも嗅いでみますか。

――はい。ではふたを開けてみましょう……あ! 先ほどのその加齢臭よりもちょっと重いというか、ヨーグルトみたいな感じでしょうかねえ……。

関根:
今、嗅いでいただいたのは「中年男性臭」といいまして、だいたい30代から40代の中年の男性に発生しやすい皮膚ガスです。まさに、ヨーグルトとかチーズとか、そういう中に含まれている成分なんですね。これがちょっと濃くなってまいりますと、使い古した油のような、そんなにおいにも感じてしまうことがあります。
これは主に、やっぱり頭、それから頭の後ろの部分、首ですね、あと耳の後ろ、こういったところから発生しやすい傾向があります。

――これは、どうして中年の男性に発生しやすいんですか。

関根:
これですね、まだ原因ははっきり分かってはいないんですけれども、ただ、発生のメカニズムとしましては、汗の中の「乳酸」、これが、皮膚の表面にいる「常在(じょうざい)菌」が分解して出てくるにおいということは分かっています。この乳酸はなぜ出てくるか、ということなんですけれども、体を動かすと、乳酸というのは出てくる成分なんです。ですから、もしかしたら働き盛りの方の、一生懸命働いている証しかな、と私は考えております。

におい、どうしたら自分で気付ける? 対策は?

――はあ。なるほど。こうしたにおいには自分で気付けるものでしょうか。

関根:
加齢臭ですとか中年男性臭は、継続してにおい続けていますので、自分の鼻で慣れてしまってるんですね。ですから、なかなか気付くのは難しいです。

――できれば自分で確認したいですよね。

関根:
そうですね。耳の後ろとか頭を指でこすってみて、ちょっと嗅いでみると、感じられる方もいるかもしれません。

――予防ですとか、対処法はありますか。

関根:
いずれも基本、洗えば落ちます。
さらには「カシス」とか「梅」とか、「抗酸化作用」のある成分を含んだ食材があるんですけれども、こういった食材を食べますと、活性酸素が抑えられて加齢臭は減るんですね。ですので、そういった抗酸化作用がある成分を含んだ食べ物、これを取り入れるのも1つの有効な手段かと思います。
あと、「紫外線」も皮脂を酸化させる大きな原因になりますので、日ざしの強い日は日焼け止めを塗るなど、対策をすることも大切ですね。
ただ、あまり気にし過ぎますと、これがストレスの原因になってしまうんですね。ですから、あまり気にし過ぎないということが大事かな、と思っております。

――自分でもいろいろと対処する方法があるということですからね。では最後に、きょうのポイントをお願いします。

関根:
中高年のにおい、気にし過ぎないことも大切です。


【放送】
2023/07/04 「マイあさ!」

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23/11/21まで

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