【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2023年1月22日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは「私はあなたが、嫌いです」。
あいつとはどうも肌が合わない、好きになれない、そんな相手っていませんか?
昔の人も人間関係で苦い思いをしたのは変わらないようですが、いがみ合う2人の間柄が意外な結果を生み、歴史に影響を与えたこともありました。2人の関係が歴史にもたらしたコトとは?



江戸時代後期の2人の浮世絵師、歌川国貞(うたがわくにさだ)歌川国芳(うたがわくによし)
2人は同じ歌川一門で兄弟子と弟弟子の関係にありましたが、タイプは正反対。
兄弟子の国貞はまじめで上品、身なりにも気をつかうタイプ。
一方、弟弟子の国芳は年は国貞より10歳ほど下ですが、生っ粋のチャキチャキ江戸っ子、火事とけんかが大好きというやんちゃなタイプでした。

こんな2人は積極的に交わろうともしない間柄。
しかし、そんな冷ややかな関係が、浮世絵の発展に影響を与えていくことになりました。


肌合いの異なる歌川国貞、そして国芳。
同じ一門でありながら、2人は浮世絵師として違った道を歩んでいくことになります。

まじめで上品な兄弟子の国貞が得意としたのは、女性を描いた繊細な「美人画」、そして歌舞伎俳優を描いた粋な「役者絵」。
そんな国貞は若い頃からヒット作を連発、花形の絵師として名をはせます。

一方、やんちゃな弟弟子・歌川国芳。
こちらは、美人画や役者絵を手掛けるものの、売れません。
いけ好かない国貞が人気を博すのを、歯がみする日々が続きます。
そんなある日のこと。
国芳は道で知り合いの芸者にばったり出会います。
その芸者曰く「これから、国貞先生の座敷に呼ばれて行くところなの」
これを聞いて国芳、一念発起!
新しい表現を求めて研さんを積み、ついに話題作を世に送り出します。
それは国貞が得意とする美人画や役者絵ではなく、荒々しく力強い豪傑や武将を描いた「武者絵」。
これが大評判、浮世絵に新しい境地を開くことになりました。

同じ一門でありながらとげとげしい間柄だった歌川国貞と国芳。
その二人の関係が、浮世絵全体の表現の幅を広げていくことになったと言えるかもしれません。

DJ日本史「私はあなたが、嫌いです」①

DJ日本史「私はあなたが、嫌いです」③