【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2023年1月22日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは「私はあなたが、嫌いです」。
あいつとはどうも肌が合わない、好きになれない、そんな相手っていませんか?
昔の人も人間関係で苦い思いをしたのは変わらないようですが、いがみ合う2人の間柄が意外な結果を生み、歴史に影響を与えたこともありました。2人の関係が歴史にもたらしたコトとは?


江戸時代終わりに近い頃の人物、大塩平八郎(おおしおへいはちろう)内山彦次郎(うちやまひこじろう)
大塩平八郎は元は大坂町奉行所の与力(よりき)で、曲がったことが大嫌いな正義感の強い人。
一方の内山彦次郎は、町奉行所の与力で年も大体大塩と同年代でしたが、タイプは正反対。
上の命令には忠実で、不満を言う庶民がいたらそれを力で押さえつける、というタイプ。
2人はとても仲が悪く、まさに犬猿の仲。
そんな2人の関係が、歴史に波乱を巻き起こすことになっていきます。


江戸時代終わりの1830年代、日本は深刻な米不足に直面します。いわゆる「天保の大飢きん」。
大坂でも餓死者が相次ぎ、大塩平八郎は庶民を救うよう町奉行に訴えます。
しかし、全く聞き入れられません。
そればかりか、なんと、大坂にある米を江戸に送り始めます。
その実行にあたったのが、かねてから大塩と犬猿の仲だった内山彦次郎でした。

大塩は激怒! 武器を持って立ち上がります。これが世に言う「大塩平八郎の乱」。
内山との因縁も影響して起きたこの乱はわずか半日で鎮圧されるのですが、その結末にも内山が大きく関係します。

乱の鎮圧後、大塩は知り合いの商人の家にかくまわれますが、その大塩を追い込む場面で動いたのが内山彦次郎。
大塩潜伏先の情報をつかむや、内山は上からの指示を待たず、自分一人でも召し捕りに行くと言って現場に急行。

この一件で名を上げた内山は、とんとん拍子に昇進。
皮肉にも、大っ嫌いだった大塩の存在が内山の運命を変えたのです。
その後も内山彦次郎は、脅しも交えたこわもてぶりで庶民の不満を抑えつけ異例の出世を果たしていきます。

ただ、その最期は実にあっけないものでした。
大塩を討ち取って27年後、江戸時代が終わる直前の1864年、奉行所から駕籠(かご)で帰る途中をいきなり槍で刺され、殺されます。
犯人は誰か、今もはっきりしたことはわかっていません。

DJ日本史「私はあなたが、嫌いです」②