【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2023年2月12日(日)放送の<DJ日本史>のテーマは、『歴史の中のパワハラ対処法』。身分制度があり上下関係も厳しかった時代は、主君のかんに障ればとんでもない仕打ちを受けることもありました。そんなとき、当時の人はどうやって上役の難癖やむちゃぶりをかわしたのでしょうか?

困ったことが起きたときに「お前、責任をとれ」とむちゃぶりされたこと、ありませんか?
そんなときのお話です。

戦国時代、筑後の国(今の福岡県南部)に小早川秀包(こばやかわ・ひでかね)という大名がいました。
秀包は中国地方の覇者と呼ばれる毛利元就の九男で武勇に優れた人物でしたが、あるとき家来に対して、とんだむちゃぶりをしてしまいます。
一体、どんなむちゃぶりをしたのか?また、主君の命令は絶対という中で家来はどうやって切り抜けたのでしょうか?


ことのきっかけは、相撲でした。
小早川秀包は大の相撲好きで、力士を20人も召し抱えていました。

ある日、秀包の治める筑後の国へ、上方から別の力士の一団が巡業でやってきます。
そこで秀包、彼らを呼び寄せて相撲大会を開きました。
お抱え力士と、いざ対戦!

ところが、です。
秀包自慢のお抱え力士は上方の力士に連戦連敗、全く歯が立ちません。
思いも寄らぬ展開に秀包はご機嫌ななめ、周囲はシ~ンとしらけてしまいました。
すると秀包、いきなりそばの家臣を呼び寄せると、
「かくなる上は、そちが土俵にあがって責任をとれ!」
「これはなんと、思いもよらぬお言葉。拙者は相撲など稽古しておりませぬ」

この家臣、名を野津仁兵衛と言いました。
力士を相手に相撲をとれとはとんでもないむちゃぶりですが、主君の命令とあれば断るわけにはいきません。
そこで野津仁兵衛、一計を案じました。

しばらくして支度を終えた野津仁兵衛が現れますが、そのいでたちに相手の力士はびっくり!
上半身裸、下帯一枚、という姿ではありましたが、なんと腰には、一振りの短い刀が。
力士たちは刀をとってくれ、と抗議しますが仁兵衛は一蹴、
「それがしは侍、刀は手離したことがない」

そんな仁兵衛の目には、殺気がムンムン。
相手の力士たちは、本当に刺されてはかなわぬ、と思ったのでしょう。
いざ取り組みが始まると、よい頃合いで自分の方からすってんころり、土俵に転がりました。

こうして仁兵衛は3人の強豪力士に連勝、周囲をどっと沸かせてその場を切り抜けることが出来たのでした。

DJ日本史「歴史の中のパワハラ対処法」①

DJ日本史「歴史の中のパワハラ対処法」③