【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2024年4月7日(日)放送の<DJ日本史>のテーマは『リストラせずに生き残れ!』。
会社の経営が厳しくなってくると手をつけがちなのがリストラ=人減らし。それは今も昔もよくとられてきた方法ですが、歴史上には簡単に首切りに頼らず組織を立て直した例もありました。これまで尽くしてくれた人々を守りながら生き残る、その方法とは?

見事な意識改革を実践して注目された信州松代藩の例をご紹介しましょう。

江戸時代中頃、松代藩は大きな水害もあって収入がガタ落ち、藩士の給料も半分に減らされたりしました。
すると、足軽たちは言うことを聞かなくなってついに出勤拒否。また、生活に困った役人が農民に賄賂を要求することもしばしばでした。

こうした状況の立て直しに取り組んだのが、松代藩家老の恩田木工(おんだもく)という人物です。
その方法は見事な手本だとして、広く全国に伝えられるほどでした。
意識改革の達人・恩田木工、そのやり方とは?


ある日、藩のお金を管理する勘定方で32両もの大金がなくなる事件が起きました。大騒ぎになりますが、1か月後、犯人が自首してきます。その犯人は、勘定方で見習いとして勤め始めた若侍でした。

聞けば、勘定方でポンと公金が放置されているのを見て、つい懐に入れてしまったそう。その後ずいぶん悩んだのですが、結局勘定方の役人である父親に説得され、ついに覚悟を決めて自首してきたのだと言います。

この若侍、藩の金に手を付けたので死罪は免れないところ。ところが恩田木工の下した処分は、意外なものでした。
恩田木工がこの若侍に言いつけた罰は、父親監視の下での自宅謹慎。父親の長年の功績に免じて、温情ある処分を下したのです。

ただ、これだけでは緩みを引き締められません。そこでどうしたか?
恩田木工は、そもそもこんな事件を生んでしまった原因に目を向けました。
その結果、公金をきちんと管理せず放置していた役人はけん責、責任者である奉行は免職。
つまり、下にやさしく上に厳しい処分を下したのです。

こうした決着法には、恩田木工の深い考えが込められていました。
恩田木工は常々、こう語っていたと言います。
「善き人が使えばよくなり、悪人が使えば悪しくなる」
つまり、上に立つ人次第で下の人が変わる、というわけです。

人々の意識改革のためには、どこをどう抑えるべきか?
恩田木工は常々、そのあんばいを考え続けたのでしょうね。

DJ日本史「リストラせずに生き残れ!」①

DJ日本史「リストラせずに生き残れ!」②