【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2024年4月7日(日)放送の<DJ日本史>のテーマは『リストラせずに生き残れ!』。
会社の経営が厳しくなってくると手をつけがちなのがリストラ=人減らし。それは今も昔もよくとられてきた方法ですが、歴史上には簡単に首切りに頼らず組織を立て直した例もありました。これまで尽くしてくれた人々を守りながら生き残る、その方法とは?

藩の収入が減ったとき、どうするか?
1つの方法が新田開発ですが、これも江戸時代中頃以降になると開墾できるところはし尽くします。
となると、次にとる手が「倹約」。全国の藩では倹約に取り組んだわけですが、中でもとりわけ厳しい倹約に取り組んだのが福島県の北部、今の相馬市辺りを治めていた相馬中村藩です。

この相馬中村藩では江戸時代の後半、藩士の給料を4分の1にまで下げたりしました。
実は1700年代終わり頃の東北地方は、冷害で多くの人々が飢え死にする「天明の大飢きん」なども起きて悲惨な状況でした。相馬中村藩でも人口が半分以下に落ち込みました。

相馬中村藩では厳しい倹約に乗り出したのですが、ただ、倹約だけではまさにジリ貧。
そこで相馬中村藩では倹約の一方で収入を増やすため、思い切った策に取り組んでいきました。


収入を増やすにはどうするか? さらに年貢を上げる?
いえいえ、その方法はとりません。
相馬中村藩の家老は藩主に上申書を提出し、こう訴えます。
「わが藩が今日のような状況になったのは、これまで深く考えることなく、過酷な年貢の取り立てをしてきたからだ」
こうして反省の上に立った藩では、発想を大転換! 領民から搾り取るのでなく、逆に手厚い支援を与えて地域の再建をめざす方法をとっていきました。

たとえば、子どもの養育費をはずむことで、農民が間引きせず赤ちゃんを育てられるようにしました。
また、藩ではこんな声も出ます。「田んぼに水をひく用水路などの修理も農民だけに任せず、藩からも出そうではないか」
さらに他の地域からの移民を受け入れ、彼らを援助したりもしました。

こうした領民の保護政策は次第に効を奏します。
やがて人口は増加に転化。相馬中村藩は、復興への道を歩んでいくことになりました。

DJ日本史「リストラせずに生き残れ!」①

DJ日本史「リストラせずに生き残れ!」③