【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2023年12月17日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは『窮地を救った窮余の一策』。物事を前に進めようにも打つ手がない、暗礁に乗り上げてお手上げ寸前。窮地に追い込まれて頭を抱え込んでしまう事態、どの時代でも起こりました。そんなとき、昔の人々はどうやってこうした事態を乗り切ったのでしょうか?

九州の天草でのお話です。
天草と言えば江戸時代初めにキリシタンが中心になって起こした「島原の乱」が有名ですが、それから160年以上経った西暦1800年頃のこと。この地域に聞き捨てならないウワサが流れました。夜な夜な、妙なお祈りをしている集団がある、というのです。
「キリシタンがいるのではないか?」

江戸時代はキリスト教が禁止されてましたから、下手をすれば大問題。
そこで、この地を幕府から預かっていた島原藩は、窮余の一策でこの事態を乗り切っていくのでした。


島原藩は地域一帯の村々を調べていきます。
すると、出るわ出るわ! なんと、5205人もの住民の信仰が露見してしまいました。
この事態を一体、どう収拾するか?
厳しく処罰すれば住む人がいなくなり、地域の存続にも関わります。
かと言って、幕府の手前、キリシタンに甘い処分は下せません。
そこで島原藩の役人が考え出した窮余の一策が、彼らをこう、言いつくろうことでした。
「かの者どもは『心得違いの者』であった」

『心得違い』=つまり、変わった教えを信じている者だとした上で、キリシタンとは見なさなかったのです。
実際、信仰の形は親から子へ何代にもわたって受け継がれる間に大きく変わり、キリスト教本来の形とは違うものになっていました。こうした実状をうまく利用して言いつくろったわけです。

結局、幕府の側も『心得違い』とする報告を受け入れます。そして下された裁定は「おとがめなし」。事件は無事、決着したのでした。
ちなみにこの事件、歴史上では「天草くずれ」と呼ばれています。

DJ日本史「窮地を救った窮余の一策」①

DJ日本史「窮地を救った窮余の一策」②