【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2023年12月17日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは『窮地を救った窮余の一策』。物事を前に進めようにも打つ手がない、暗礁に乗り上げてお手上げ寸前。窮地に追い込まれて頭を抱え込んでしまう事態、どの時代でも起こりました。そんなとき、昔の人々はどうやってこうした事態を乗り切ったのでしょうか?

室町幕府には将軍不在の時期がありました。
5代将軍の足利義量(よしかず)はわずか17歳で亡くなってしまうのですが、義量には子どもがいなかったため、その後の4年間、幕府は将軍不在でした。その間の政治は、亡くなった義量の父親で先代の将軍だった足利義持が仕切ったのですが、やがて、さらに深刻な事態が起きてしまいます。
大御所政治を行っていたその足利義持も突如病に倒れ、危篤状態になったのです。しかも義持には息子はおらず、次の将軍も決めていませんでした。まさに幕府存亡の危機。

このとき事態の収拾に乗り出したのが、幕府の重臣だった畠山満家(みついえ)たちです。
畠山満家らはこの窮地をどうやって乗り切ったのか、その窮余の一策とは?


いよいよ足利義持が危険な状態になると、焦る畠山満家ら重臣たちは足利義持にお伺いを立てました。跡継ぎを決めてもらおうとしたのです。
ところが、足利義持は跡継ぎを指名しません。それは以前、石清水八幡宮で行った占いで「世継ぎの男の子が生まれる」という結果が出ていたからです。つまり、信心深い足利義持は神様に逆らおうとしなかったのです。
しかし、事は急を要します。畠山満家らはもう一度、足利義持に伺いを立てました。
すると義持は、「それなら、次の将軍はおまえたちで決めよ」
ただ、そんなことは到底無理。お互いライバル関係にある家臣たちが、すぐに一本化した結論を出せるわけありません。
一方で足利義持の容体は悪くなるばかり。一刻の猶予も許しません。
そこで畠山満家らが考え出した方法、窮余の一策がこれです。

「義持様が信仰する神様に決めてもらおう」

つまり畠山満家らは、次の将軍を義持の信仰あつい石清水八幡宮のくじで決めることを提案、この案を義持も了承しました。
こうして、義持の弟4人を候補としてくじを引いた結果、6代将軍には足利義教(よしのり)が就任することになったのでした。

DJ日本史「窮地を救った窮余の一策」②