【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん
2023年12月10日（日）放送の＜DJ日本史＞、テーマは「大江戸武士の涙ぐましい処世術」。戦国時代が終わって落ち着きを取り戻した江戸時代、戦のない世で武士に求められたのは腕っぷしの強さより、周りに合わせてうまくやっていくことでした。天下泰平の時代の、侍の新しい生き方とは？
もし、人によくない所、欠点があったらどうするか？
相手が好まないことでもあえて言ってあげるのはすばらしい行い、これこそ真の友人だ！ という見方をする人もいるでしょう。
しかし、江戸時代が始まって百年余り後に武士の心得を書いた本「葉隠（はがくれ）」では、そんな見方をバッサリ否定しています。この本では、人の悪い所をどうやって直すべきだと説いているのでしょうか？
「葉隠」では、こう説いています。
「忠告をして人の欠点を直すのは、もちろん大事。しかし、相手の好まないことをズバリ指摘するのが親切だと思うな。何の益にもならない。悪口を言って恥をかかせるのと同じだ」
では、どうすればいいか？
「葉隠」が重視するのが、ものの言い方、伝え方です。
１つの方法は、相手の欠点に直接ふれるのではなく自分の欠点として話すことで、それとなく伝えること。
たとえば気の短い人に忠告するときはどうするか？ まずは自分自身が短気で失敗した体験を話すことで、「ああ、それはいけない」と相手に気づいてもらうようにするのです。
他には、良い所を褒めて気分を上げ、相手が心を開いたときに伝えるやり方も薦めています。この方法について「葉隠」ではこう表現しています。
「喉が渇いたとき水を飲むように、納得させるのだ」