【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2023年12月10日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは「大江戸武士の涙ぐましい処世術」。戦国時代が終わって落ち着きを取り戻した江戸時代、戦のない世で武士に求められたのは腕っぷしの強さより、周りに合わせてうまくやっていくことでした。天下泰平の時代の、侍の新しい生き方とは?

江戸時代の武士は職場となる城でどんなふるまい、態度が求められたのか?
江戸城への勤めが決まった新人旗本武士の例を見ていきましょう。


城に上がると一番に求められるのは、礼儀正しい態度とふるまい。たとえば挨拶一つとっても、相手の地位によって頭の下げ方が違いました。
老中配下の御側衆(おそばしゅう)に対しては軽く会釈、一方老中自身には、腰をかがめて深く頭を下げなくてはなりません。

たかが挨拶、そう思われるかもしれません。ただ、問題が一つありました。それは、城で出会うどの人が老中なのかわからない、ということ。では、どうしたか?
解決策は、自分の上司や先輩に一緒についていってもらうこと。最初のうちは彼らから、どの人が老中なのか教えてもらったのです。

すると新人武士にはもう一つ、苦労の種が生まれることになりました。
世話をしてくれる上司や先輩に嫌われたりしたら、それこそ大変! 城でのふるまい方がわからず立ち往生してしまいます。
そんなわけで、月に一度のご機嫌うかがい、季節ごとの見舞い、それに付け届けは欠かせませんでした。
そうやって気をつかう上役が何人もいれば、もう大忙し!
人付き合いにかける手間と時間、それにお金、相当なものだったんでしょうね。

DJ日本史「大江戸武士の涙ぐましい処世術」②