【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2023年12月3日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは「『うん』と言わせた、この一言」。相手に納得してもらえない、なかなか聞き入れてもらえない……そんな経験、ありませんか? 一筋縄でいかない人を説き伏せるのは、とても難しいこと。昔の人はどうやって頑固な相手をうなずかせたのでしょうか? たった一言で「うん」と言わせた、強力な殺し文句とは?

大きな敵を前にしてこちらに味方するのをためらう相手に、見事、腹をくくらせた人物がいます。毛利元就の息子・小早川隆景(こばやかわ・たかかげ)です。

毛利家が一躍勢力を拡大するきっかけとなった「厳島の戦い」(1555年)で、毛利は中国地方を支配する大勢力の陶晴賢(すえ・はるかた)と戦います。このとき毛利の兵力は4分の1以下。普通なら毛利に味方する者などいない状況でした。
しかし戦いでは、瀬戸内海に浮かぶ厳島に兵を送るため、一帯の海を牛耳る村上水軍の協力が欠かせません。

そんな中、小早川隆景はためらっていた村上水軍を味方につけることに成功します。
相手の気持ちを揺り動かした、小早川隆景の一言とは?


村上水軍を味方につけたい小早川隆景は、周到に策を講じます。使いの者には、村上水軍の有力者と親戚関係にある家臣を起用。徐々に友好関係を深めていきます。
一方の村上水軍も、陶晴賢との仲は険悪でした。
つまり、毛利と村上水軍が手を組める状況にはありました。

とは言え、陶晴賢の兵力は毛利の4倍以上。村上水軍はためらいます。簡単に「うん」とは言ってくれません。
そこで小早川隆景、こう切り出しました。

「300の船を1日だけ、貸してはくれまいか。厳島に我々を送ったら、すぐに帰ってよい」

村上水軍の頭領は問いただします。

「1日とはどういうことか。帰りの船はいかがする?」

すると隆景は一言、こう答えたのです。

「勝てばよし、負ければ島で討ち死にするまで。よって、帰りの船などいりませぬ!」

必死の覚悟を知った村上水軍は、ついに毛利に味方することを決断。こうして、歴史に残る大勝利がもたらされたのでした。

DJ日本史「『うん』と言わせた、この一言」①

DJ日本史「『うん』と言わせた、この一言」③