【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2023年12月3日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは「『うん』と言わせた、この一言」。相手に納得してもらえない、なかなか聞き入れてもらえない……そんな経験、ありませんか? 一筋縄でいかない人を説き伏せるのは、とても難しいこと。昔の人はどうやって頑固な相手をうなずかせたのでしょうか? たった一言で「うん」と言わせた、強力な殺し文句とは?

前例ばかり持ち出してこちらの話を聞かない人っていますよね? そんな人を一言でピシャリと黙らせた例をご紹介しましょう。

室町時代中期の守護大名・山名宗全(やまな・そうぜん)は西軍の総大将として応仁の乱を戦った大名で、気性が激しく力ずくでのし上がった人物でした。
そんな山名宗全はある日、あれやこれやと昔の例ばかり持ち出す人にうんざりしてしまうのですが、最後はその人物を一言で黙らせます。一体、どんなことを言ったのでしょうか?


京の都を焼き尽くした応仁の乱の最中、山名宗全はある公家の屋敷を訪れたことがありました。この公家は、朝廷で大臣を務めるえら~い人物。話題に上ったのは、乱れた今の世をどうするか? 公家は語ります。

「昔はこのとき、こうした。あのときは、こうだった」

さすが大臣を務めるだけあって知識が豊富、流れるように話し続けます。ただ、出てくるのは過去の前例ばかり。
山名宗全はしばらく耳を傾けていましたが、やがて我慢しきれず口を開きます。

「あなた様のお話はわからぬでもない。しかし、昔の例ばかり出すのはよくありませぬ」

そして、ズバッとこう言いました。

「あなた方公家は、昔の例にとらわれて時の流れを見ていない。だから、武士に天下を奪われたのでござる。そもそも今、卑しき身分のそれがしが、あなた様とこうして対等に話している。かような前例、過去にありましょうや!」

それっきり、公家は口をつぐんでしまいました。

DJ日本史「『うん』と言わせた、この一言」②