【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2023年6月11日(日)放送の<DJ日本史>、テーマは『あの世界的偉人を動かした日本人』。どの国でも広く名が知れ渡った世界の偉人たち。そんな彼、彼女らの胸を打ち、行動に駆り立てた日本人がいます。世界的偉人はその日本人の存在をどうやって知ったのか? そして、どんなところに感銘を受けたのでしょうか?

世界の偉人を励ました江戸時代の盲目の学者をご紹介しましょう。
その学者とは江戸時代後期の人物、塙保己一(はなわ・ほきいち)
塙保己一は子どものとき病気で目が見えなくなり、16歳のときには将来に絶望して自殺まで考えたこともありましたが、その後奮起、苦労を重ねて学者になりました。そして歴史に残る業績、「群書類従」の出版を成し遂げます。
「群書類従」は日本各地の貴重な文献をまとめて編さんしたもので全部で666冊、全国の書物を集めてまとめるのにかかった時間はなんと41年間! これがその後、歴史や文化の研究に非常に役立つことになりました。すごい偉業を成し遂げたわけです。

この塙保己一のことはその後の時代になって世界にも伝わり、人々を勇気づけます。
その一人が、1900年代に活躍したヘレンケラー。
三重苦の障害のあるヘレンケラーは母親から「日本の塙保己一先生を目標に生きていきなさい」と言われていました。

では、ヘレンケラーの母親は塙保己一のことを一体どうやって知ったのか?
その過程を探っていくと、実はもう1人の偉人にたどりつきます。
塙保己一の生涯に感動しその存在をヘレンケラーの母親に教えた人。それは、誰もが知るあの世界的偉人でした。


1887年、ヘレンケラー6歳のときのことです。
両親は、目が見えず耳も聞こえないヘレンになんとか教育を受けさせる方法はないか、すがる気持ちである人物の元を訪ねました。
その人物の名は、アレクサンダー・グラハム・ベル
そう、皆さんご存じ、電話を発明したあの世界的偉人です。

ベルは「電話の発明者」として知られていますが、実はもう1つ生涯をかけて取り組んだことがあります。
それは、聴覚障害者の教育。
ベルの母親は耳が聞こえなかったため、母のような障害者を助けようとベルは音が聞こえる仕組みを研究するのですが、電話はその過程で生まれたものでした。

こうしたベル、はるばる訪ねてきたヘレンケラーの両親との交流が始まりますが、その中でベルは塙保己一のことを話したようです。

では、ベルは塙保己一をどうやって知ったのか?
きっかけは一人の日本人留学生だったようです。その留学生の名は伊沢修二(いざわしゅうじ)。
彼は英語の発音にとても苦労していたため、音声学に詳しいベルに指導してほしいとベルの元を訪ねていました。その伊沢からベルは、塙保己一の偉業を知ったようです。
「ただでさえ難しく途方もない事業を、全盲の学者が成し遂げた!」
その事実は、強くベルの心に響いたのでしょう。

こうして、盲目の学者塙保己一の姿は、海を越えて世界の偉人たちの胸に刻み込まれたのです。

DJ日本史「あの世界的偉人を動かした日本人」①

DJ日本史「あの世界的偉人を動かした日本人」③