【出演者】
松村邦洋さん
堀口茉純さん
川久保秀一さん


2023年3月5日(日)放送の<DJ日本史>は、大河ドラマの主人公になりそうな人物を番組独自で発掘するシリーズ企画『大河になるかな人物伝』の3回目、とりあげたのは、北畠顕家(きたばたけ・あきいえ)。鎌倉幕府滅亡後の「建武の新政」を支え、後醍醐天皇のために戦った人物です。名門貴族の生まれにして戦にめっぽう強く、あの足利尊氏を切腹寸前まで追い込んだほど。また、姿がとても麗しいと評判で「花将軍」とも呼ばれました。そんな若き貴公子・北畠顕家のすごさと魅力に迫りました。

北畠顕家は一時、あの足利尊氏を九州まで追いやり、切腹寸前まで追い詰めます。
ところがその尊氏、なんと息を吹き返します。そして再び京都を占領し、後醍醐天皇を京都から追い出しました。
結局、武士の間では、後醍醐天皇の政治に対する不満が収まらなかったのです。
すると、後醍醐天皇はまたまた北畠顕家に助けを求めることになり、顕家は再び東北から京都へ進軍してくることになりました。

天皇に不満がたまる、足利尊氏が攻めてくる、北畠顕家が東北から助けにやってくる。これの繰り返しでした。

では、後醍醐天皇の政治のどこが不満だったのか?
1つは、天皇1人がすべてを決める体制をとったのですが、これが多くの弊害を生んでいました。
そしてもう1つの不満は、天皇がお気に入りの人を優遇したこと。わいろもはびこることになってしまいました。

ここに至って北畠顕家、後醍醐天皇に意見書、いわゆる上奏文を送りつけます。
そこに書かれている言葉、率直にしてとても厳しいものでした。


この上奏文で北畠顕家、後醍醐天皇が自分に近い者ばかりをひいきにしていると批判します。

「最近、陛下が用いる貴族や女官、僧侶の中に、行政をむしばみ政治を汚す者がおります。庶民はそのことをお互い目くばせしてわかりあっているが、口にはしない。そんな状況を知って、東北にいるとき私は心が痛みました。ふらちな者は、早く取り除くべきです」

また北畠顕家の批判の矛先は、後醍醐天皇の日頃の行いにも向かいました。

「今、民は苦しんでいます。そんなときに旅行をしたり宴会をしたりするのは、国が乱れる元。天皇一人が外に出ると多くの役人がついていく、だから、たくさんのお金がかかってしまいます。また、宴会で酒を飲むのは毒。京の都に戻った暁には、臨時の旅行、夜遅くまでの宴会は、きっぱりおやめください」

そして上奏文の最後、北畠顕家はこう結びます。

「私はもともと文官で、戦のことは知りませんでした。ですが、これまで大軍を率いて危険にわが身を置いてきました。これも、私を忘れて陛下のことを思い、悪を退けて正しい道へ戻したいだけだからです。どうしても非を改めないのなら、私は職を辞して世を捨て、山の中に引っ込みたいと思います」

DJ日本史「大河になるかな人物伝」①

DJ日本史「大河になるかな人物伝」②