2019年9月30日
内閣府 小城徳勇さんと仲間たち
地球を救う?「ヴィーガン」ランチ
2019年9月30日
永田町にある中央合同庁舎8号館の食堂。
週2回、月曜日と金曜日に特別なランチが食べられると聞きつけ、のぞいてみました。
それがこちらのプレート、けんちん汁もついて800円。
おにぎりの中に入っているのは鶏の唐揚げでしょうか?
レンコンが乗った料理は、見た目はハンバーグ。
実はこれ、8号館の食堂名物「ヴィーガン」ランチです。
ヴィーガンとは完全菜食主義者のこと。ベジタリアンと違い、卵やチーズなど動物由来の製品もNG。このランチ、肉はもちろん動物性のものも一切使われていないんです!
鶏の唐揚げそっくりの具が入ったおにぎりは、大豆を加工した「ソイミート」を唐揚げにした「ソイむす」.。
ハンバーグのような見た目の料理は、「ヴィーガンつくね」。
レンコンを刻んで入れて鳥の軟骨の食感を再現した、こだわりの逸品です。
このランチの仕掛け人、内閣府の職員、小城徳勇さんです。
もともと「健康オタク」で、ファンだったビートルズのポール・マッカートニーがベジタリアンだったことから興味を持ったそうです。休日は自作のヴィーガン料理に取り組み、週1回の菜食「ミートフリーマンデー」を日本で広める活動も行っています。
そんな小城さん、永田町や霞が関の人たちにもヴィーガン料理を広めようと、食堂の運営会社に持ちかけ、このランチが実現したんです。
この日は、小城さんの仲間3人が集まりました。
上智大学で環境学を教える井上直己さん。
ことしの3月から、菜食中心の生活に入ったそうです。きっかけは環境保全の危機意識からでした。
「牛などの家畜やその糞尿からは二酸化炭素の20倍以上も温室効果があるメタンガスが発生しますし、アマゾンなどでは森林を破壊して放牧地や穀物飼料の農場を作っています。欧米では気候変動に危機感を持つ多くの人がヴィーガンやベジタリアンになっています」
内閣府の菅野奈穂さん。
農林水産省出身で、当時は肉や乳製品の消費拡大を推進する部署にいたそうです。
「正直、私は肉が好きで、チーズも大好きなので、ヴィーガンにはたぶんなれません。ただ、畜産のあり方をより環境に優しい形に転換していくことはできると思うんです。せめて月曜日と金曜日だけでも、肉消費を少なくしようかな、ということで選択的ヴィーガンをしています(笑)」
川代隆志さんは、都内で自然栽培の野菜を販売しています。
失礼ですが、自然栽培って何ですか?有機栽培との違いは?
「有機栽培の野菜は肥料を施し、一部認められた農薬も使えます。自然栽培は農薬にも肥料にも頼らず、自然に近い環境の中で野菜を栽培する方法です。農薬や肥料が川に流れたり、土壌に染みこむこともないので、環境に優しい栽培方法なんです。今日のランチにも自然栽培の野菜を使っていただいているんですよ。みそ汁のだしも野菜だしです」
「最近は、日本でもイスラム教徒の『ハラール』が注目されていますが、実は日本に来る外国人旅行者は、イスラム教徒より、ベジタリアンとヴィーガンの方が多いと言われています。来年の東京オリンピック・パラリンピックで日本に来たヴィーガンが何も食べられない、ということがないように、日本でもヴィーガン食が広がって欲しいです」と小城さん。
「肉や畜産を悪者にするつもりもまったくありません。『今日のランチは中華、イタリアン、寿司、ベジ、どれにしようか?』というように、普段の食生活の中でひとつの選択肢になるように広がって、多くの人が食と環境を考えるきっかけになって欲しいですね」と、井上さん。
最後に、私もいただいてみます。
「ソイむす」をもぐもぐ…。
!!!
まるで鶏の唐揚げのような味!言われないと、気づかないかも…。
ごま塩ごはんとのりとの相性も抜群です。
環境保護や観光振興に一役も二役も買いそうなヴィーガンランチ。
ごちそうさまでした!