2019年3月1日

厚生労働省で弁当販売 辰田美枝さん

ワゴン弁当で役所を「健康」に

2019年3月1日

日比谷公園に面した、27階建ての合同庁舎5号館。

そこは、去年の裁量労働制をめぐるデータの誤りや、障害者雇用の水増し問題、そしてことしに入って統計不正問題と、次々と組織のあり方が問われる問題が明るみに出ている厚生労働省です。

もともと、残業時間が長く「強制労働省」というあだ名もあるうえに、今回の問題。庁舎内の食堂やコンビニは、連日大混雑。そもそも、同じ庁舎に環境省も入っていて、働く人の数が多いという事情もあります。

そんな職員たちが頼りにしている存在、それがこちら。
「KENKO食堂のお弁当で~す」

各フロアに直接出向く、お弁当のワゴン販売です。食堂の運営業者が5年前から始めました。

午前11時くらいから、4人が手分けして、3階から22階までフロアを回ります。
販売するお弁当は、なんと40種類。

魚や野菜が中心のものから、肉や揚げ物中心のものまで幅広く、しかも「KENKO食堂」の名の通り、栄養バランスも考えられています。値段は400円から650円、1日に500個ほどは売れるそうです。

2年前から販売チームに加わった辰田美枝(たつた・よしえ)さん(67)です。

お弁当を満載したワゴンを押して回り始めると、職員が買い求めに来ました。

「毎日でも飽きない。外に行く時間が無く、部屋の前まで来てくれるのは助かります」
「普段は妻に作ってもらいますが、ここの弁当も健康的で気に入っています」

100個ほどあった弁当は、正午過ぎには売り切れました。

食堂を訪れる人も減り、ようやく辰田さんたちのランチタイムです。
辰田さん、この日はほかのメンバーのワゴンで売れ残った鶏飯弁当にしました。

「鶏飯弁当は定番の人気商品なんです。鶏の煮付けが飽きない味!」

重いワゴンを押しながら歩き回るのは、やはり重労働。
だから仕事のあと、ほかのメンバーとランチを取るのがほっとするひとときだそうです。

「完売の日がほとんどだから、余った日はみんなで味見するんだよね」
「最近は、若い男性職員も健康志向で、魚を食べる人も多いね」

みなさん、職員たちの様子を見ていてどうですか。
「国会が始まってからは、よりいっそう忙しそう。普段買わない人も買いに来てくれる」
「でも、忙しくても健康にはとにかく気をつけてほしい。私たちの弁当を食べて『健康診断の結果が良くなった』と聞くこともあるんですよ」

医療や保険、年金、労働など身近な政策を扱う役所だからこそ、国民目線で、しかも健康で、政策を進めて欲しい。ワゴンのお弁当も、そのための源になればと願うばかりです。

ごちそうさまでした!