鹿児島 馬毛島の自衛隊基地建設 知事が初めて容認の考え

鹿児島県の馬毛島で計画されている自衛隊基地の建設について、塩田知事は国による住民の安全対策や環境保全措置が講じられることが確認されたなどとして、計画を容認する考えを初めて明らかにしました。

鹿児島県西之表市の馬毛島では、アメリカ軍の空母艦載機訓練の移転先として自衛隊基地の建設計画が進められていて、防衛省は今年度中にも環境影響評価の手続きを終え、基地の本体工事に着手する意向を示しています。

こうした中、鹿児島県の塩田知事は11月29日の県議会で、「これまでの国とのやり取りや環境影響評価の手続きなどを通じて、国において住民の安心・安全を確保するために必要な対策や、環境を保全する措置が講じられることを確認した」と述べました。

そのうえで、「わが国周辺を取り巻く安全保障環境が一段と厳しさを増している状況も踏まえ、総合的に検討した結果、県としては理解せざるをえないとの考えに至った」と述べ、計画を容認する考えを初めて明らかにしました。

塩田知事は、騒音被害への地元の懸念を踏まえ、アメリカ軍に対し夜間訓練を避けるよう要請することなどを求める意見書を先月、防衛省に送っていました。

これに対し、防衛省は飛行ルートを守るようアメリカ側に申し入れることなどを説明し、理解を求めていました。

鹿児島県 塩田知事「知事意見に沿った対応を確認した」

報道陣の取材に応じた塩田知事は「全体として知事意見に沿った対応が行われていることを確認した。環境影響評価書の作成時期は年内か年明けと想定されるので、今のタイミングで県としての考え方を整理したうえで、県議会でも議論していただくことが必要ではないかと思っている」と述べました。

塩田知事は、基地建設に向けて地元への十分な情報提供や安全対策に万全を期すことなどを求める要請書を29日、浜田防衛大臣に送ったということです。

浜田防衛相「大変ありがたい 緊密に意思疎通図り整備進める」

浜田防衛大臣は、記者会見で「大変ありがたい。馬毛島における自衛隊施設に関わる地元自治体すべてから防衛省・自衛隊の取り組みに対する立場が示されたことになる。防衛省としては今後とも地元自治体と緊密に意思疎通を図りながら施設整備を進めていきたい」と述べました。

松野官房長官「地元自治体の理解が重要 緊密に意思疎通を図る」

松野官房長官は午後の記者会見で「政府としては馬毛島で南西防衛、大規模災害時の活動拠点となる自衛隊施設を整備する方針だ。アメリカの空母がアジア太平洋地域で恒常的に活動する上で不可欠な艦載機の着陸訓練を実施するための施設でもある」と説明しました。

そのうえで「自衛隊やアメリカ軍の活動には地元自治体の理解が重要で、引き続き鹿児島県の塩田知事や西之表市の八板市長と緊密に意思疎通を図りながら整備を進めていく」と述べました。