裁選に立候補せず」
岸田氏 安倍首相3選支持へ

9月に行われる自民党総裁選挙への立候補を検討していた岸田政務調査会長は、記者会見し、豪雨災害の対応や北朝鮮問題をはじめとした外交などに安倍総理大臣を中心に取り組む必要があるとして、今回の総裁選挙への立候補を見送り、安倍総理大臣を支持する考えを表明しました。

この中で、岸田政務調査会長は、9月の自民党総裁選挙への対応について「西日本では、私の地元広島を中心に、大変大きな豪雨被害が発生している。また、外交でも、北朝鮮問題や対米外交など難しい判断が求められていることを勘案すれば、いつまでも立候補するかどうか明らかにしないことは無責任だ」と述べました。

そして、「今回の総裁選挙には立候補せず、安倍総理大臣を中心に、さまざまな政治課題に取り組み、貢献していくことが、適切な対応ではないかと判断した」と述べ、今回の総裁選挙への立候補を見送り、安倍総理大臣を支持する考えを表明しました。

そのうえで、記者団から「次の総裁選挙には立候補するのか」と質問され、「気の早い話だ。ひとつひとつ、目の前の政治課題や政治日程に真剣に取り組むことが大事で、その積み重ねが未来につながっていく」と述べました。

また、岸田氏は、23日に安倍総理大臣と会って意見を交わし、24日、立候補を見送り、支持する考えを電話で伝えたことを明らかにしました。

自民党総裁選挙をめぐっては、安倍総理大臣が3選に強い意欲を示しているのに対し、石破元幹事長が立候補の準備を進めているほか、野田総務大臣が立候補したいという意向を示していて、6年ぶりの選挙戦になる公算が大きくなっています。

岸田氏が立候補を見送り、安倍総理大臣を支持する方針となったことで、国会議員票では安倍総理大臣がさらに優位な情勢となる見通しです。

岸田派座長の林文科相「残念だが 判断受け止める」

岸田派の座長を務める林文部科学大臣は24日夕方、記者団に対し、「われわれとしては、いろんな意見を申し上げて、最終的には岸田会長の判断にご一任したので、残念な気持ちはあるが、しっかりと判断を受け止めて、岸田会長から示される判断に基づいて一致団結して行動していきたい」と述べました。
細田派事務総長 下村元文科相「安倍総裁の3選に向け弾み」
安倍総理大臣の出身派閥の自民党細田派の事務総長を務める下村元文部科学大臣は記者団に対し、「岸田派は安倍総裁に1本化して応援してもらえるのではないか。さらに3選に向けて弾みがつくと期待したい。安倍総裁の信任投票的な選挙にしたいと思っており、ぜひ党員投票の半分以上が取れるような流れを作っていきたい」と述べました。

石破元幹事長「訴えること 変わるわけではない」

自民党の石破元幹事長は群馬県高崎市で記者団に対し、「誰が出ようと出まいと、総裁選挙で自分が訴えることが変わるわけではない。総裁選挙は、党員と、有権者に審判を仰いできた国会議員の判断で決まるもので、派閥の合従連衡ですべてが決まるのであれば選挙の意義がない」と述べました。

また、石破元幹事長は国会内で記者団に対し、「岸田氏本人が苦悩の上で下した決断だと申し上げるほかない。私自身は、誰が出ようが出まいが関係のない話で、『自分として、こうだ』ということを打ち出し、それを問うべきだと思っている」と述べました。

そのうえで、「自民党員が政策や党運営のあり方を見極め、判断するための期間が必要で、確保されるべきだ」と述べ、総裁選挙では政策論争のための十分な期間が必要だという認識を示しました。

野田総務相「自分の信念に従って歩いていく」

自民党の総裁選挙に立候補したいという意向を示している野田総務大臣は、総務省で記者団に対し、「岸田氏自身が判断したことなので、私から申し上げることはない。政治家が決断した結果だと受け止めている。私は、3年前の総裁選挙から、こつこつと歩んできた道のりを、また、こつこつと自分の信念に従って歩いていくだけだ」と述べました。

竹下派 竹下総務会長「構図が変わってきた」

自民党竹下派を率いる竹下総務会長は記者団に対し、岸田政務調査会長から記者会見の前に今回の総裁選挙への立候補を見送る考えを伝えられたことを明らかにしたうえで、「総裁選挙の構図が変わってきた感じを強く持っている」と述べました。

そのうえで、竹下氏は今後の対応について「派閥としてどうするかは、まだ決めていない。あす以降、派内の意見を聞き始めるが、総裁選挙まで2か月あるので、きょうあすに決めなければならないということではない」と述べ、派閥に所属する議員の意見を聞いて対応を決める考えを示しました。

国会議員の約6割が安倍首相支持の見通し

安倍総理大臣を支持する見通しとなっているのは、出身派閥で党内最大派閥の細田派、麻生副総理兼財務大臣が会長の第2派閥の麻生派、二階幹事長が率いる二階派です。

この3つの派閥と岸田派の所属議員を単純に足し合わせれば240人を超え、自民党国会議員のおよそ6割にあたります。

一方、石破元幹事長を支持する見通しなのは、今のところ、石破派だけにとどまっています。

このほか、党内第3派閥の竹下派、石原派、それに、谷垣グループは、総裁選挙への対応を明らかにしていません。

また、派閥に所属していない議員は50人余りで、このうち小泉進次郎筆頭副幹事長は「最後までしっかりと考えたい」と述べています。