「選挙なんて…」
都議選前に高校生が考えた

「選挙なんていつの間にか行われて誰かが当選してた、みたいな自分には全く関係ないもの」
18歳になったばかりの高校3年生のことばです。
初めて選挙権を得る高校生たちは選挙や政治のことをどう考えているのか。
東京都議会議員選挙を前に取材しました。
(選挙プロジェクト 桜田拓弥)

東京・大田区にある都立蒲田高校。
基礎から学び直したい生徒が通う「エンカレッジスクール」に位置づけられています。

6月中旬の選択科目の授業で扱われたのは都議会議員選挙でした。
担当の淺川貴広先生は始めに、選挙権を得た3人を含む9人の生徒に今投票できるなら投票に行くかどうか尋ねました。

手を挙げたのは2人でした。その理由は「人生でまだ行ったことがないから」

行くつもりがないと考えている生徒からは…

「誰が出ているのかよく分からない」
「よく分かっていないから投票しちゃいけないと思う」

「選挙や政治についてピンときていないのではないか」と考えた淺川先生。

投票先を決めるポイントを3つ紹介しました。

①「見た目だけで判断しない」
見た目や印象だけで判断しないで、候補者の主張を見てみよう。

②「公約の実現可能性を考える」
関心のある公約でも本当に実現できるのか自分なりに考えてみよう。

③「将来を見据えているか」
少子高齢化など将来の課題をどうしようとしているのか見極めよう。

生徒たちは、都議会議員選挙の大田区選挙区に立候補を予定している人たちの主張を見比べながら、自分と考えが近いのは誰なのか考えました。
そうすると、生徒たちにも変化が出てきました。

「候補者の訴えには共感できたが、所属政党が掲げる政策の中には賛成できないものもあった」
「コロナ対策はいいと思うが保育に関する政策はちょっと違うんじゃないか」

こんな意見が出されました。

授業が終わったあと生徒たちにインタビューすると…

「候補者によって考え方に大きな差があるんだなと初めて知りました。自分の住んでいる地域の候補者を調べてみようと思いました」
「なぜその政策を訴えたいのか、具体的な考えや理由も知りたいし、どうやって実現していくのかも説明して欲しいです」

淺川先生はこれから社会人になる生徒たちにこう期待しています。

「投票の結果だけではなくて、投票までの間にいろいろなことを考えることが大切なんだと 生徒が理解してくれたらうれしいです。
常に政治に関心を持つのは難しいかもしれないが『この選挙は面白そうだな』というのをきっかけに、世の中や社会のことに関心を持てる有権者であって欲しいですね」

【詳しく】都議選2021 特設サイト