「感染リスクの専門家の見解
IOCにも伝達を」尾身会長

東京オリンピック・パラリンピックをめぐり、政府の分科会の尾身会長は、参議院厚生労働委員会で、感染リスクなどに関する専門家としての見解を、関係者を通じてIOC=国際オリンピック委員会にも伝えたいという考えを示しました。

東京大会をめぐり、政府の分科会の尾身会長は、感染症の専門家として、新型コロナウイルスの感染リスクなどに関する見解を関係者に伝えたいという意向を示しています。

尾身会長は、8日の参議院厚生労働委員会で「オリンピックが開催されるとして、専門家や多くの人の願いは、なるべく感染を抑えて成功させることだ。そのためには外部と接触しない『バブル』の中の関係者の感染対策も必要で、IOCや日本の組織委員会、政府、自治体が同じ目線、方向性で実施していくことが大事だ」と述べました。

そのうえで「IOCにも日本の状況を知ってもらい、理解してもらうことが大事だ」と述べ、感染リスクなどに関する見解を関係者を通じて、IOC=国際オリンピック委員会にも伝えたいという考えを示しました。

また、今後まとめる見解について「どういうリスクがあるか、リスクを軽減するためにはどんな選択肢があるかということで、これ以上でもないし、これ以下でもない。リスクの評価をどう採用し実行するかは、政府やIOCなどの仕事だ」と述べました。

西村経済再生担当相「尾身会長の見解受け止め適切に対応」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で「尾身会長は、オリンピックの可否を分科会で議論するべきだと言っているわけではない。国内の人の移動に対して、どうリスクを抑えていくのかは考えなければならないということで、これは私も同じ気持ちだ」と述べました。

そのうえで「感染リスクや医療提供体制のリスクをどう下げるのかという議論を、尾身会長ともしている。見解が提言という形で出てくるのか、その前に意見交換をするのかは決まっていないが、しっかりと受け止めて答えを出していかなければいけない」と述べ、見解を受け止め、適切に対応したいという意向を示しました。

田村厚労相「尾身会長の見解もとに必要な対策とる」

東京大会をめぐり、政府の分科会の尾身会長が、感染リスクなどに関する見解を関係者に伝えたいという意向を示したのに対し、田村厚生労働大臣は、先週「自主的な研究の成果の発表だと受け止めさせていただく」と述べました。

これについて田村大臣は、閣議のあと記者団に対し「研究の自主性はいちばん重要で、どう尊重していくかという意味で申し上げたが、個人の研究や勝手な研究みたいに受け止められたのだと思う。誤解を招いたとしたら、ことばの使い方を改めなければならない」と釈明しました。

そのうえで「分科会による発表以外だと、分科会のクレジットがついていないので自主的な研究という受け止めをするが、必要なもの、参考になるものは受け止めさせていただく」と述べ、示された見解をもとに必要な対策はとっていきたいという考えを示しました。

そして、田村大臣は「国内での人流が増えた場合、当然、感染拡大のリスクが高まる。自宅で家族と応援するオリンピックにしていただきたい」と述べました。

小池知事「専門家の意見」

東京都の小池知事は「専門家のご意見だと思う。英語版の都のモニタリングレポートはIOCに毎週、お伝えしている。当然、数値などは専門家もたくさんいるのでIOCで分析をされていると思う」と述べました。

東京都医師会会長「先生の貴重な提言」

東京都医師会の尾崎治夫会長は「感染症の専門家として分科会の先生の考え方として極めて当然の考え方だと思っています」と述べました。

そのうえで「もう少し早めに言っていただければと思っていますけれども、政府には単なる勉強会と捉えるのではなくて、政府と一緒に歩んできた分科会の、先生の貴重な提言として受け止めていただきたい」と述べました。