“ワクチンや治療薬の国内
開発体制確立重要”首相

菅総理大臣は、参議院予算委員会の集中審議で、感染症対策のワクチンや治療薬を国内で迅速に開発できる体制を確立することが重要だという認識を示しました。
また東京オリンピック・パラリンピックの開催について、国民の命と健康を守りつつ、感染対策を講じて安心して参加できる大会にする考えを強調しました。

自民党の本田顕子氏は「感染症の影響は大変深刻だ。今後新たな感染症が発生した場合、緊急事態について考えておくことが必要だ。ワクチン開発面での法整備の必要性について考えを聞きたい」と質問しました。

これに対し菅総理大臣は「感染症対策の決め手となるワクチンや治療薬については、国内で迅速に開発・導入できる体制を確立していくことが大切だ。まず、ワクチン接種を思い切って加速化し、感染が落ち着いた段階で、今回の対応をしっかり検証したうえで、必要な見直しを行っていきたい」と述べました。

立憲民主党の蓮舫代表代行は、東京オリンピック・パラリンピックの開催をめぐり「安倍前総理大臣が延期を求めたときと比べて、明らかに国民の命と健康が脅かされている。この危機的な状況を、IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長に、せめて『相談をする』とも言えないのか」とただしました。

これに対し菅総理大臣は「東京大会の開催にあたっては、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守る。これが開催にあたる、日本の内閣総理大臣としての私の基本だ」と述べました。

公明党の里見隆治氏は、ワクチン接種について「大規模接種会場で、いま接種しているファイザーとは別のワクチンを活用するとなれば、混在することがあってはならない。自治体間の連携がうまくいくように対応が必要だ」と指摘しました。

これに対し河野規制改革担当大臣は「大規模接種会場には、新たに承認されるワクチンを流していく。そこで打った方には、そこへ戻っていって2回目を打っていただくことを徹底しなければならない。都道府県ともしっかり連携しながら、きちんと同じものを打てるように進めていきたい」と述べました。

日本維新の会の石井章氏は、沖縄県の尖閣諸島をめぐり「中国の圧力がかかってきて、尖閣諸島で日本の漁船が脅かされると、ワンフレーズで『遺憾の意』『厳重抗議』の連発だ。日本の国は、日本が守る意思を示さなければいけない」とただしました。

これに対し菅総理大臣は「尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も、わが国固有の領土で、現にわが国は有効支配をしている。解決すべき領有権の問題は存在しない。領土・領海・領空を断固として守るのは当然のことだ。冷静にきぜんと対応していきたい」と述べました。

国民民主党の舟山政務調査会長は、新型コロナで影響を受けた事業者への支援策について「大規模な百貨店に対して、1日20万円では焼け石に水だ。要請するならば、感染症対策のためにも、まずは支援をし、補償をすることが必須だ」とただしました。

これに対し菅総理大臣は「デパートについては、当初の20万円と比較して大幅に変えたことは、ぜひご理解いただきたい。事業規模に応じて変えていくべきだという主張も受け止めた。いろいろな国会論戦の中で、実行に移させてもらっている」と述べました。

共産党の山添拓氏は、東京オリンピック・パラリンピックをめぐり「ワシントン・ポストは、開催を前進させている主な要因はカネで、中止で損切りすべきだと主張し、フランスのル・モンドも、変異株の祭典となり、危険があるとしている。批判が広がる中、開催ありきで突き進むのか」とただしました。

これに対し菅総理大臣は「海外でそういう論調があるようだが『外国人の観客は入場不可』とかが伝わっていないのではないか。感染対策をしっかり講じ、安心して参加ができるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく」と述べました。