首相との面会「憶にないし
記録にもなかった」加計理事長

加計学園の獣医学部新設をめぐる問題で、加計孝太郎理事長がきょう岡山市で初めて報道陣の取材に応じ、愛媛県の文書に記されていた3年前の安倍総理大臣との面会について「記憶にもないし、記録にもなかった」と述べて否定しました。

加計学園の獣医学部新設をめぐっては先月、愛媛県が国会に提出した内部文書に、学園側からの説明として、平成27年2月25日に加計理事長が安倍総理大臣と面会し獣医学部の構想を説明したなどと記載されています。安倍総理大臣はこの面会を否定し、学園側も実際にはなかった面会を持ち出したとして愛媛県などに謝罪しています。

この問題で、19日午前11時から岡山市の学園本部で加計理事長が報道陣の取材に初めて応じました。

この中で加計理事長は愛媛県に対して実際にはなかった面会を持ち出したとして謝罪した渡邉事務局長を月額10%の減給6か月の処分、また、自身についても1年間給与の10%を自主返納することを明らかにしました。

また、安倍総理大臣との関係について「総理とは何十年来の友人で仕事の話をすることはやめにしている。獣医学部についても話したことはない」としたうえで、愛媛県の文書に記されていた安倍総理大臣との面会については「記録を調べたところ3年も前のことなので記憶にもないし、記録にもなかった」と述べて、否定しました

愛媛県文書 ”首相が「いいね」と”

加計学園の理事長が、愛媛県や今治市が国家戦略特区に獣医学部新設を提案する3か月以上前の平成27年2月25日に安倍総理大臣と面会したとされる問題。

先月、国会に提出された愛媛県の内部文書には、理事長が獣医学部の構想を伝えたところ、安倍総理大臣が「いいね」と答えたと記されていました。

この面会について、野党は国会で安倍総理大臣が学園の獣医学部の構想を知ったのは、去年の1月20日だと繰り返し答弁してきた内容と矛盾すると追及しましたが、安倍総理大臣は2月25日に加計理事長とは面会していないと反論しました。

加計学園 ”実際はなかった面会”

こうした中、加計学園は先月、報道各社に対して1枚のコメントを出しました。

そこには、学園の事務局長が実際にはなかった理事長と総理大臣との面会を引き合いにだし、愛媛県と今治市に誤った情報を与えたと書かれていました。

こうした学園の対応に愛媛県の中村知事は「偽りの説明をしたとすれば、愛媛県や今治市に謝罪するのが常識だ」と批判し、学園は事務局長らが県と今治市に訪れておわびする事態となりました。

依然 説明つかない部分も

一方で、愛媛県の内部文書は、獣医学部新設に危機感を持った学園側の担当者が3年前の2月に地元選出の国会議員と面会したこと、さらに、3月24日に学園関係者、4月2日に愛媛県と今治市、学園関係者がそれぞれ官邸で柳瀬元総理大臣秘書官と面会したことなど、これまで明らかにされていなかった事実が正しく記されていました。

こうした中、与野党から加計理事長みずから説明すべきだという声が上がり、今回、本人が一連の問題が明らかになってから初めて取材に応じ、安倍総理大臣との面会を否定しました。

しかし、安倍総理大臣との面会がなかったとすれば、なぜ柳瀬氏が4月2日に官邸で面会に応じる必要があったのかなど、説明がつかない部分が依然として残されたままです。

学生「学生にもきちんと説明を」

獣医学部新設をめぐる問題で、加計理事長が初めて報道陣の取材に応じたことについて、学園が運営する大学に通う学生らからは学園側に真摯(しんし)な対応を望む声が聞かれました。

工学部4年の男子学生は「理事長が会見を開いたことで、ようやく問題が前に進むのかなと思った。気になることがたくさんあるので、学生に対してもきちんと説明してほしい」と話していました。

経営学部4年の女子学生は「ずっと学校の問題のためにもやもやとしていたので、やっとというのが正直な気持ちです。ただ、理事長の説明が本当かはわかりません」と話していました。

また、理学部1年の男子学生は「そもそも自治体にうそをついていたことに驚きと不信感を感じています」と話していました。

官房長官「首相の国会答弁どおり」

菅官房長官は午後の記者会見で「加計理事長の会見の詳細は承知していないが、面会については、安倍総理大臣自身が当初から国会で述べていたとおりではないか」と述べました。

文科相「コメント控える」

林文部科学大臣は、記者団に対し「加計学園から、今治市なり愛媛県なりへの話に関わることなので、文部科学省としてコメントは差し控えたい」と述べました。