アスベスト訴訟 弁護団
「全被害者救済の補償を」

建設現場でのアスベストの健康被害を訴えた集団訴訟で、最高裁が国の上告を退け、国に賠償責任があるとした判断が確定したことを受けて、訴えを起こした元作業員と弁護団が会見を開き、国がすべての被害者を救済する補償制度を設けるべきだと訴えました。

建設現場の元作業員や遺族がアスベストによって、肺がんなどの病気になったと訴えた集団訴訟のうち、東京などに住むおよそ350人が訴えた裁判では、最高裁判所の決定によって国に賠償責任があるとした判断が初めて確定しました。

国の賠償額は22億8000万円余りとなります。

これを受け、元作業員らと弁護団は17日、東京 霞が関で会見を開きました。

原告団長で電気工事を個人で請け負う一人親方だった宮島和男さん(91)は「最高裁の決定を聞き、うれしさとともに、12年間、裁判を闘ってきたことや、多くの原告が亡くなったことが頭に浮かび、電話を切った後、知らず知らずのうちに複雑な涙が出ました」と語りました。

弁護団長の小野寺利孝弁護士は「過去の問題ではなく、いまも被害を訴える人が増え続け、1万人にものぼっている。国は、これ以上被害者に裁判を起こさせるのではなく、政治主導ですべての被害者を救済する補償制度を設けてほしい」と訴えました。